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2012(平成24)事業年度 事業計画・予算・資金計画

事業計画

国の「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」(平成20年3月閣議決定)および「特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画」(平成20年3月閣議決定)を基本に、2012(平成24)事業年度における原子力発電環境整備機構(以下「機構」という。)の事業計画を以下のとおり定める。

機構は、2002年12月に全国の市町村を対象に「高レベル放射性廃棄物の最終処分施設の設置可能性を調査する区域」(以下「応募区域」という。)の公募を開始し、応募に向け、国および電気事業者と連携した広聴・広報活動に取り組んできた。

また、概要調査地区選定に必要な技術基盤等の整備に国とともに取り組んできており、昨年度は、「地層処分事業の安全確保(2010年度版)~確かな技術による安全な地層処分の実現のために~」を公表し、文献調査および概要調査を実施するための具体的な技術の準備が整っていることを示した。

このような状況の中、地層処分事業に関心を有する地域が複数出てくるなど、少しずつ成果が現れてきているが、文献調査の開始には至っていない。

2011 年3 月に発生した東北地方太平洋沖地震に起因する東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故を受けて、国民のみなさまの原子力に対する不安・不信が増大しており地層処分事業を取り巻く環境も大変厳しい状況にある。

現在、国において今後のエネルギー政策、原子力政策等について検討が進められており、その中で、当機構のあり方や取組みの強化についても検討が進められている。

高レベル放射性廃棄物は既に発生し貯蔵されており、地層処分事業を確実に進めていく必要があるとの認識の下、2012(平成24)事業年度においては、これらの検討等を受け、文献調査の開始に向けた事業の体制、進め方等の見直しを行い、順次具体化していく。

全国のみなさまに対する広聴・広報活動については、概要調査地区等の選定に真につながるよう、外部有識者等の意見を踏まえて見直しを行い、応募獲得に向け努力していく。

地層処分事業に関心を持っていただいた地域に対しては、その取り組みをしっかり支えるとともに、その地域および周辺市町村をはじめ、当該都道府県域に対する広聴・広報活動を実施していくことで、文献調査に着実につなげる。さらに、応募をいただいた後は、応募市町村や周辺市町村、ひいては当該都道府県域における地域との共生関係を築いていくため、地域の自立的発展に寄与するプランづくりとその実現に努める。

地層処分事業を円滑に進めるために必要となる技術開発および国際的連携の推進については、引き続き長期的に取り組んでいくとともに、巨大地震・津波等の自然現象による影響や安全対策について取りまとめ、理解活動に活用していく。また、機構内における技術力維持・向上のための人材確保、人材育成および独立行政法人日本原子力研究開発機構等からの技術移転を長期的な観点から行っていく。

なお、応募の状況等に応じ、業務の見直し等が必要な場合には、適切かつ柔軟に対応していくこととする。

I 概要調査地区等の選定

処分施設の設置可能性を調査する区域の応募があった場合、処分施設建設地選定までの3段階のプロセスの最初の段階である概要調査地区の選定を的確に進めるため、応募区域およびその周辺の地域に関する文献調査を計画に基づいて実施する。また、特定放射性廃棄物の種類および応募区域に対応した処分場概念等を検討していく。

文献調査の実施や処分場概念等の検討にあたっては、外部の専門家を交えて評価することで客観性・透明性を確保するとともに、データベースへの登録により追跡性を確保する。

なお、国による文献調査の申入れが行われ受諾された場合も同様に実施する。

1.文献調査の実施

  1. (1) 文献調査計画の策定

    文献調査に先立ち、収集すべき文献の種類や文献の収集方法等を取りまとめた文献調査計画書を応募区域ごとに作成し、公表する。

  2. (2) 文献情報の収集・整理

    応募区域の概要調査地区としての適性を評価するため、「概要調査地区選定上の考慮事項」を基に必要な文献等を収集し、情報を抽出・整理する。なお、情報・データを管理する地理情報システム(GIS)および地質環境データ管理システムは、データの拡充等を図る。

  3. (3) 地質環境特性の分析・評価

    「概要調査地区選定上の考慮事項」に示した評価の考え方に基づき、地質環境特性等に関する文献情報の分析・評価を実施する。分析・評価にあたっては、既存の評価手法やこれまで開発を進めてきたデータ評価手法等を活用する。

2.応募区域に対応した処分場概念等の検討

概要調査地区の選定に資するため、文献調査によって得られる情報等に基づき、設計・性能評価に必要となる地質環境特性を検討するとともに、特定放射性廃棄物の種類および応募区域の条件に対応した処分場概念を検討する。

さらに、応募区域における環境保全策や自主的な環境影響調査・評価の計画を検討するため、応募区域およびその周辺の地域における環境の現況や規制に関する情報を調査する。

II 地層処分に関する理解活動

全国のみなさまに対する広聴・広報活動については、概要調査地区等の選定に真につながるよう、従来の活動を評価し、外部有識者からなる「広聴・広報アドバイザリー委員会」等の意見を踏まえて見直しを行い、効果的に活動を展開していく。また、地層処分事業に対する問い合わせに的確に対応するとともに、関心を持っていただいた地域には積極的に出向き、地域に密着した迅速かつ広がりある理解活動を展開するなど、信頼関係を構築し、地域の取り組みをしっかり支えていく。

そして、応募をいただいた後は、応募市町村およびその周辺市町村をはじめ、当該都道府県域のみなさまとの信頼関係を発展させ、処分事業の理解促進、さらには事業推進にご協力をいただけるよう、現地事務所を開設して、地元マスメディアの活用、説明会や関連施設への視察等、様々な理解活動を引き続き進めるとともに、地域イベントの共催や地域共生への取り組み等により地域のみなさまとの交流を深めていく。なお、国による文献調査の申入れが行われた場合も同様に実施する。

1.応募をいただくための積極的な理解活動

  1. (1) 全国のみなさまに対する広聴・広報活動の強化

    地層処分事業を進めるには、全国のみなさまに、事業に関心を持ち、その必要性・安全性等についてご理解いただくことが重要であるとの認識の下、かねてより、ワークショップや座談会といった草の根レベルの相互理解活動や、マスメディアを活用した広報活動を展開してきた。こうした活動の結果、事業の認知と必要性の理解は着実に進んできた。

    今後は、外部有識者からなる「広聴・広報アドバイザリー委員会」や資源エネルギー庁の「原子力広聴・広報アドバイザリー・ボード」における審議等を踏まえて、従来の活動の評価を総括し事業の必要性はもとより安全確保の仕組みなどについてもご理解いただけるよう十分に検討を行い、概要調査地区等の選定に真につながるよう、より実効的な活動を展開していく。

  2. (2) 応募促進に向けた多様な広報メニューによる理解活動

    地層処分事業の必要性、安全性や地域共生への取り組み等について、問い合わせに的確に対応するとともに、地層処分事業に関心を持っていただいた地域に積極的に出向き、事業概要の説明、関連施設の視察、地域共生モデルプランの提示をはじめ、多様な広報メニュー(説明会、講演会、シンポジウム等)による地域に密着した迅速かつ広がりある理解活動を展開するなど、地域のみなさまとの信頼関係を構築し、地域の応募に向けた取り組みをしっかりとサポートしていく。また、関心を持っていただいた地域の周辺市町村等においても、理解活動を実施する。

    なお、地域のみなさまに地層処分についてご理解を深めていただくことが重要であるとの観点から、地域の自主的な勉強会等に対して支援を行う。

2.応募市町村や周辺市町村等における相互理解活動

  1. (1) 地域における理解活動

    応募市町村や周辺市町村、ひいては当該都道府県域のみなさまとの信頼関係を構築・発展させ、本事業の理解促進さらには事業推進にご協力いただけるよう現地事務所を開設して、地域のみなさまの理解促進に向けた対話集会や説明会などの相互理解活動や関連施設の視察等を積極的に実施するとともに、地域の自主的な勉強会等に対して支援を行う。

  2. (2) 地域共生に向けた活動

    応募市町村や周辺市町村、ひいては当該都道府県域における地域との共生関係を築いていくため、地域イベントの共催など、地域のみなさまとの交流を深める活動を積極的に展開する。さらに国の地域振興構想研究会が取りまとめた「地層処分事業と地域振興プランについて」(平成20年9月)を活用しながら、地域のみなさまの自主性を尊重し、地域と一体となって、地域の自立的発展に寄与する地域共生プランづくりとその実現に努める。

  3. (3) マスメディアの活用等による広報活動

    応募市町村や周辺市町村、ひいては当該都道府県域において、地層処分事業に対する理解を促進するため、新聞、テレビの地元マスメディアや応募市町村を対象としたミニ広報誌等を活用し、きめ細かな情報提供を実施する。また、シンポジウムなどを開催し、地域のみなさま、専門家やオピニオンリーダー等を交えたディスカッションを行い、その結果を紙面での紹介を通じて広く周知するとともに事業活動に反映する。

3.積極的な情報公開

従来から情報提供を行ってきた事業計画・報告書、決算報告書等の財務関係書類、技術情報に加え、昨年度から最終処分積立金の使途等の一層の情報提供を行っている。今後とも積極的な情報提供を行うことにより事業運営の透明性を確保する。

また、情報公開請求においては、情報公開規程に基づき適切に対応する。

III 地層処分に関する技術開発等

概要調査地区等の選定に必要な技術の整備およびさらなる高度化、効率化の検討を行うとともに、長期にわたる地層処分事業を的確かつ効率的に推進するため、長期的展望に立った技術の開発を継続する。特に、事業主体として事業に必要な技術に関する要求事項の体系的提示や成果の的確な確認等を行うことにより、リーダーシップを発揮し、国の行う基盤的技術に関する研究も含め地層処分技術全体の整備を着実に推進する。また、技術情報に関して、信頼性の向上、理解活動に資するため、品質保証活動に取り組むとともに技術開発成果を学会、ホームページなどで積極的に公表する。さらに、2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震を踏まえて実施してきた安全確保策の再確認を行い、巨大地震・津波等の自然現象による影響や安全対策について取りまとめる。

1.段階的な事業の展開に必要な技術開発

技術事項に関わる意思決定やその検討内容を事業の各段階において的確に管理していくために、処分場概念等に関わる各要件やその関連情報をデータベース化した要件管理システムの試験的運用を実施するとともに、その改善を図る。

2.精密調査地区選定段階等の計画を進めるための技術開発

  1. (1) 精密調査地区選定において考慮すべき事項および概要調査計画の検討

    「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(平成十二年法律第百十七号)に規定された要件への適格性の確認等を行い、精密調査地区を選定するために考慮すべき事項および概要調査の計画立案から調査報告書作成までの一連の業務に係る実施方法の確立に向けた検討を行う。また、概要調査に関する品質保証活動について検討する。

  2. (2) 概要調査技術・評価手法の開発・実証

    概要調査における地質環境の長期安定性、地質環境特性の調査技術・評価手法については、さらなる高度化、効率化の観点から、開発・実証を進める。

  3. (3) 概要調査に対応する処分場の設計・性能評価手法の開発

    概要調査結果に対応する処分場の概念設計やその性能評価を行うため、地上・地下施設や人工バリアの設計に関わる技術、並びに処分場の建設・操業・閉鎖を実施するための技術について、概念設計への適用性および信頼性について検討するとともに、必要な性能評価手法についてさらなる高度化の観点から、開発を進める。

  4. (4) 処分施設建設地選定に向けた技術開発

    処分施設建設地選定に向けて、精密調査段階における地質環境の長期安定性、地質環境特性の調査技術・評価手法の検討および実証を開始する。

  5. (5) 安全確保に向けた方策の整備、信頼構築方策の検討

    精密調査地区選定段階等における機構としての安全確保の自主基準(安全確保の目標や基本的な考え方)の立案に向けた検討を進めるとともに、放射性廃棄物処分の技術要件等の策定に係る検討を行う。また、地層処分事業を推進するため、理解活動に有効な技術的支援方策を検討する。

3.技術情報の品質確保と品質保証体系の運用

技術情報の客観性、中立性、信頼性を担保するため、技術アドバイザリー委員会等において助言を受けるとともに、品質マネジメントシステムを適切に運用していく。

4.地層処分に関する技術協力

機構および国内外の関係機関が有する成果等を積極的に情報交換することにより、最新の技術開発の成果を反映し、概要調査地区選定に必要な知見や概要調査以降に必要な技術を的確かつ効率的に整備・更新していく。

  1. (1) 国内関係機関との技術連携の強化

    協力協定を締結している独立行政法人日本原子力研究開発機構および財団法人電力中央研究所、並びにその他の国内関係機関との間で、処分施設建設地選定に必要な地質環境評価、地層処分の工学技術、安全評価等に関する技術情報の交換、共同研究等を実施し、連携の強化を図る。

  2. (2) 海外関係機関との技術協力

    地層処分に関する技術は国際的に共有できるものも多いことから、協力協定を締結している海外の実施主体等との間で、地質環境評価、地層処分の工学技術、安全評価等に関する情報交換、共同研究等の技術協力を実施する。

  3. (3) 国際機関等との協力

    各国の地層処分実施主体で構成される放射性物質環境安全処分国際協会(EDRAM)において、実施主体間における積極的な情報交換を行う。国際原子力機関(IAEA)および経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)等が進める国際共同プロジェクトに積極的に参画し、地層処分事業の円滑な実施に資する。

    また、IAEA、OECD/NEA、カナダの実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)等の共催により開催される地層処分国際会議(ICGR2012)について、準備段階から積極的に協力するとともに、会議へ参加し各国の関係者と処分事業への取り組みについての意見交換を行い、日本における地層処分事業の推進に資する。

IV 拠出金の徴収

「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(平成十二年法律第百十七号)第11条および第11条の2の規定により、発電用原子炉設置者等から拠出金を徴収する。