なぜ、地層処分

高レベル放射性廃棄物等には寿命の長い放射性物質が含まれているので、長期にわたって人間とその生活環境に対して放射能の影響が及ばないようにする必要があります。その方法としては、次の3つが考えられます。
・人間の生活環境へ影響が及ばないように長期にわたって人間が管理する。
・そもそもの危険性をなくしてしまう。
・人間の生活環境から十分離れた場所に長期にわたって隔離する。

最初に挙げた、人間の管理による方法を貯蔵と言っています。貯蔵については、原子力発電所敷地内での使用済燃料の貯蔵をはじめ、青森県六ヶ所村での高レベル放射性廃棄物の貯蔵など多くの実績があります。しかし、貯蔵を将来にわたって続けていくことは、いずれ困難になるかもしれません。

2番目の危険性をなくす方法は核種変換と呼ばれ、高レベル放射性廃棄物等の中に残留する寿命の長い放射性物質の量を少なくするための技術で、基礎的な研究が進められています。しかし、この技術はまだ研究開発の段階であって、商業規模で実現されるためには多くの時間が必要とされていますし、将来、この技術が実用化されても、放射能の高い放射性物質の量が少なくなるだけで、放射能をなくす方法というわけではありません。

最後の人間の生活環境から離れた場所に隔離する方法としては、横方向へ遠ざけると別の人に近づくことになるので、上(宇宙)に隔離する方法と下(地下深く)に隔離する方法が考えられます。このうち、宇宙空間に放出する方法は、ロケットの打ち上げ失敗の例が示すように、技術的な問題、不測の事態における地球規模での影響の広がりや経済性などの問題があり、現在では検討されることもほとんどありません。地下深部に隔離(地層処分)するのは、地層が本来持っている、物質を包み込んで保存するという性質を巧みに利用する方法です。

安定した地下に廃棄物を隔離する、これが地層処分です。日本では、1960年代から検討が開始され、1980年代に国の方針として地層処分が選択されました。また、地層処分は国際的にも認められた方法です。

地下には、石油、石炭や鉱石などが1億年以上にわたり移動せずに存在している場所があります。地層処分で大切なことは、その安全性が大きく依存する地下の環境をよく知ることです。