NUMOトップ  >  海外の状況  >  国際的動向のスポット解説  >  第2回 スウェーデンにおける地層処分場の立地・建設許可申請に対する規制当局の予備的評価結果について

海外の状況 海外の状況についてご説明します。

地層処分に関する国際的動向のスポット解説

第2回 スウェーデンにおける地層処分場の立地・建設許可申請に対する規制当局の予備的評価結果について

gumo
 スウェーデンで高レベル放射性廃棄物処分場の立地・建設許可申請に対する予備的審査結果の一部が公表されたと聞きましたが、どのような内容でしたか。
梅木
 NUMOの理事の梅木です。スウェーデンでは、国内の原子力関連施設から生ずる放射性廃棄物処分の実施主体であるスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB)が放射線安全機関(SSM)に対して、オスカーシャムにキャニスター封入施設を建設することに関する許可申請(2006年)、ならびに、フォルスマルクに使用済燃料処分場を建設することに関する許可申請(2011年)を提出しています。この処分場の建設・操業には、原子力活動法と環境法典に基づく政府の許可が必要です。SSMの役割は、原子力活動法に基づく許可のための審査であり、この申請内容がSSMの定めた原子力安全性、放射線防護及び核セキュリティに関する要求を満たしているかどうかを、封入施設の建設と操業、使用済燃料処分場の建設と操業、長期安全性の評価、処分場システム全体についての課題の4つの分野で審査することです。SSMのこのための活動費用は廃棄物基金で賄われています。このSSMが今年6月、審査結果の一部として、長期安全性に関する評価書の第3章:「処分場の初期状態と放射線安全の観点からのフィージビリティ」の案ならびに「処分場の建設・操業」の評価書全体の案を公表しました。
gumo
 以前に、フィンランドの原子力安全規制機関であるSTUKが、処分事業の実施主体であるPOSIVA社から申請のあった地層処分場の設置許可申請に対して、今年2月になって政府に対して許可するよう報告したことをお聞きしましたが、スウェーデンとフィンランドで何か違いはありますか。
梅木
 フィンランドでは、スウェーデンに比べ、申請から許可までは短い時間でなされたことになります。これは、フィンランドおいては、2000年にオルキルオトを処分場建設予定地とする原則決定が行われ、すでに予備的安全評価が行われており、スウェーデンでは立地選定を含めた許可申請を行っているという違いによるものといえます。
 実は、STUKが審査結果を公表したちょうどその日に、SSMは、自分たちが現在審査中の同趣旨の申請に対しては2017年に政府に対して正式な報告を提出すること、しかし、これは重要な報告になるから、国民や意思決定者がその内容を調査できることが重要なので、今年の春には最初の予備的審査結果を公表すると発表しています。それが6月に公表されたわけですが、それにしても、審査結果として報告書の一部分を公開するというのはちょっと不思議な気がします。ただ、国境を接して同じような取り組みを行っていくためには、このような気配りも大切なことなのでしょうね。
gumo
 SSMは、自らの審査の一助として、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)にSKBの建設認可申請書の付属書のひとつである、最終処分場の長期安全性に関する評価書(Main report of the SR-Site project)について国際的な専門家チームによる評価(国際レビュー)を依頼したと聞きました。その結果はどうだったのですか。
梅木
 その結果は、2012年に公表された報告書(The Post-Closure Radiological Safety Case For a Spent Fuel Repository in SwedenPDF http://www.oecd-nea.org/press/2012/2012-04.html)に取りまとめられています。その主な結論は、評価書に示された処分場閉鎖後の安全評価は十分信頼ができる、処分場の実現可能性と長期安全性の両方について納得のいく説明と技術基盤が示されている、というものです。同時に、信頼性向上のための追加解析と開発作業の必要性などの改善点の指摘もあります。こうした国際レビューを行なうことは、欧州連合(EU)が発行したEU指令においても規定されています。
gumo
 ところで、地層処分場の安全審査で重要となる長期安全性の評価に関して、SSMはどのような安全規制基準を制定しているのですか。
梅木
 スウェーデンにおける使用済燃料の処分に関係する安全規則については、SSMが以下の規制を定めています。
  •  ・原子力施設の安全性に関するSSM規則(2008年)
  •  ・核物質及び原子力廃棄物の処分の安全性に関するSSM規則(2008年)
  •  ・使用済燃料及び原子力廃棄物の最終的な管理に係わる人間の健康及び環境の保護に関するSSM規則(2008年)
 SSMは、それらの規則適用に関して、必要に応じて一般勧告という形式の規制文書を策定しています。
 処分場の安全基準については、リスク値で規定されており、処分場閉鎖後において有害な影響が生じるリスクが、最大のリスクを受けるグループの代表的個人について10-6/年を超えないように設計しなければならないとされています(実効線量かリスクへの換算係数は 0.073/Sv)。ただし、最大被ばくを受けるグループがごく少数の人数である場合には、最大リスクは10-5/年を超えなければ基準を満たすと判断されます。
 安全評価の不確実性を考慮して、処分場閉鎖後の1,000年間とそれ以降の期間に分けて評価。それ以降については、少なくとも約10万年、または氷期1サイクルに当たる期間を含み、最大でも100万年とし、処分場の防護能力の改良可能性についての重要な情報をもたらす限りの期間まで延長することとしています。
 安全評価のシナリオについては、次のように規定されています。
  •  ・処分場の防護能力と環境影響は、処分場とその周辺、生物圏の最も重要な進展プロセスを解明できるように組み合わせたシナリオを組み合わせて評価する。
  •  ・安全評価は、さまざまな時期における処分場の機能の基本的な理解を与えること、処分場のさまざまな構成部分の機能及び設計の要件を確認することも目的とする。
  •  ・処分場への直接的な人間侵入などの将来の人間活動シナリオを含むシナリオについては、擾乱を受けていない処分場に対するリスク解析と分けて報告する。
  •  ・シナリオの発生確率及び発生時期の違いについて解析し、シナリオ及び計算ケースが実際に発生する確率を可能な限り評価する。
(出典)諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について(2015年版)
gumo
 今回公表された審査結果はどういうことを言っているのですか。
梅木
 SSMのセクションヘッドAnsi Gerhardsson氏は、次のように述べています。
  •  ・この予備的評価において、SKBが提案している最終処分概念に基づく岩盤掘削、地下施設での廃棄体の取り扱い、廃棄物の定置に関して、SSMの原子力安全と放射線防護基準を満たす見通しがあることを実証していると判断する。
  •  ・放射線に対する長期的な安全性を解析評価するための出発点となる閉鎖後の処分場の初期状態については、私たちの評価も慎重ではあるが肯定的である。しかし、最低でも10万年間にわたり処分場が放射線安全に関する要件に適合することが期待されるというSKBの説明に対し、SSMの見解を示すためには更なる調査が必要。
 処分場の閉鎖時に想定される処分場の状況や銅製のキャニスターの製造に関連する課題がまだ残っており、SSMは、基本的な文書が現段階の許認可手続きに十分であるかどうか判断するために、審査を継続することになります。いずれにしても、これらも含めてまだ審査は継続しており、「審査全体について最終的な結論を示すのは早計である。」と同氏は述べています。なお、追加的な予備的審査結果も、2015年中頃に公表される予定です。SSMは、2016年春に、SKBのすべての許認可申請に対する見解を土地・環境裁判所へ提出し、2017年には、最終評価を政府へ提出することとしています。
注)SKBは、スウェーデンの原子力発電所で発生する使用済燃料を銅製キャニスターに封入し、地下約500mの結晶質岩に、ベントナイト製の緩衝材でキャニスターを取り囲むようにして定置する方針で、処分概念はKBS-3概念と呼ばれています。

以上