ワークショップ開催レポート(東北)

ワークショップの概要

開催日時 平成24年11月10日(土)13:30~16:50
会場 仙台市青年文化センター2階 研修室2
宮城県仙台市青葉区旭ヶ丘3-27-5
プログラム 13:30~13:35 開会挨拶
13:35~13:45 オリエンテーション
13:45~14:45 講演
佐藤 正知氏
独立行政法人 国立高等専門学校機構
福島工業高等専門学校 特命教授
前北海道大学大学院工学研究院教授[4.1MB]PDFファイルが開きます。
14:45~15:25 グループディスカッション
15:25~15:35 休憩
15:35~16:20 全体シェア・Q&A
16:20~16:30 ふりかえり
16:30~16:50 講評・おしらせ・閉会挨拶

ワークショップ当日の様子

平成24年11月10日(土)宮城県仙台市の仙台市青年文化センターにおいて、ご応募いただいた、仙台市及び近郊にお住まいの方々(19名)にご参加いただき、第3回電気のゴミワークショップを開催しました。

冒頭、昨年3月11日におきた福島第一原子力発電所事故について、関連事業に携わるものとしてのお詫びから始まり、『高レベル放射性廃棄物やそれを取り巻く現状を皆様に知っていただき、一緒に考えていただきたい』と本ワークショップの開催趣旨説明をしました。


ワークショップでは、はじめに独立行政法人 国立高等専門学校機構 福島工業高等専門学校 佐藤正知特命教授(前北海道大学大学院工学研究院教授)から「高レベル放射性廃棄物について」講演をいただきました。その後、参加者の皆さんが6~7人のグループとなり、今回ファシリテータとして運営協力をしていただくNPO法人あすかエネルギーフォーラムのメンバーによる議事進行のもと、活発な議論が行われました。参加者の皆さんからは、「今現在放射性廃棄物はあるわけで、今後どうしていくか合意形成をどうするかを議論したい」「学術会議の報告を得てどう考えるか」「地層処分は日本において適切な処分方法なのか」「処理方法として地下に埋めるだけというのは原始的ではないのか」「地層処分してしまうと見えないので、逆にそれが危険を感じさせる。危険の可視化が必要ではないか」「地中内での被ばくがどうなっているかといった評価など、もう少し深い話を聞きたい」などの多くの質問や意見が出されました。

グループ発表

Q&A

1. 原子力発電の必要性ありきの議論はおかしいのではないか?このワークショップの開催目的は何か?
原子力を進めるのか、進めないのか、あるいは即時止めてしまうのか、そうしたことについては、今まさに国民的な問題として国の方で議論されています。私たちNUMOは原子力発電に対する議論の動向を注視していくしかないのですが、一方で、既に1700本以上の放射性廃棄物が日本国内にあり、それが六ヶ所村の方で中間貯蔵されているという事実、さらに、電力会社のそれぞれの原子力発電所には使用済燃料が保管されているのですが、これらも全て再処理したとすると、25,000本近い数の放射性廃棄物、ガラス固化体が潜在的に存在しているという事実、これは原子力発電を今後どう扱っていくのか、好きだとか嫌いだとか、そうしたことに左右されない現実なのです。
しかし、こうした情報について、皆さんを初めとした全ての国民の方々がご存じかというと、まだまだ私どもNUMOの情報提供が行き届いていないのが現状だと思います。
そこで、ワークショップの開催目的ということになるわけですが、「今後のエネルギー政策や原子力発電の動向がどうなるにせよ、放射性廃棄物は既にあるということを先ずは皆さんに知っていただいたうえで、これをどうしたらいいのかということについて、考えていただきたい」と、こうした趣旨で開催しています。従いまして、原子力発電の是非ですとか、放射性廃棄物の地層処分に対して、何か結論を得たいということで今日のワークショップを設けているのではありません。
2. 海外の処理方法のメリット・デメリットを情報提供し、それから議論するべきではないか
各国がどんな処分をするのかということですが、高レベル放射性廃棄物の処分については1955年にアメリカで地層中に処分するという考え方が示されて以降、原子力を進めていく国は、それぞれがこの問題に取り組まなければならないということで、国際的にいろいろな議論を重ねてきました。そして1995年には40年間にも及ぶ議論を経て、「各国が自国で、現世代の責任において地層処分を実施することが適切」ということで国際的な合意が得られています。
こうした国際的な議論が行われていくなかで各国が地層処分に向けた法律や制度を整備してきたのですが、日本では1976年から地層処分について研究が始められています。そして1999年には「日本でも地層処分ができる」という研究機関からの報告に基づいて議論がなされた上で、2000年に法律が制定されたのです。そして国の認可により設立された私どもNUMOという組織が高レベル放射性廃棄物を処分することになったわけです。
つまり海外の処分方法も日本同様、深い地中に処分するということでは共通だということですが、ここに至るまでには地層処分以外にもいろいろな方法について議論されています。宇宙に捨ててしまう方法、深い海洋の底に沈めてしまう方法、あるいは南極大陸の厚い氷の下に処分をしてしまうといった方法です。それとは別に「処分」ということではありませんが、地上で長期に保管をするということについても議論されています。
例えば宇宙処分。確かにロケットで打ち上げて成功すればいいですけれども、失敗したら大変なことになってしまう。海洋に投棄処分をするのは、ロンドン条約で禁止されているのでやっぱりできない。また、南極の氷の下というのも条約で禁止されている。非常に長期にわたって人間が管理するということは、今現在も六ヶ所村で中間貯蔵していますから技術的にできないことではないのですが、地上の建物も建て替えして行かなければならないし、監視という負担も将来の世代に負わせてしまう。このようなことが本当に良いのかといった議論が国際的な場で行われて、その結果、技術的にも確立している地層処分が選択されたのです。
3. 先日の学術会議の提言を受けてどう考えるか
学術会議からの提言、これは原子力委員会の依頼を受けてまとめられたもので、9月に原子力委員会に対して報告書が提出されたものです。そこには6項目ほどいろいろな観点からの提言が記載されていますが、その中に「いきなり最終処分するのではなく、数十年から数百年間暫定的に保管をして、その間に国民の理解を得るなり合意形成をするべきだ」という提言があります。この提言については、提言を受けた原子力委員会の方でこれから議論されると思いますし、その議論の場で国や原子力委員会が提言をどのように受け止めるのかということについては、私たちは見守っていくしかないのかなと考えています。
ただNUMOとして、また技術的な面から考えますと、地層処分については、世界で、あるいは国内で数十年かけて、しっかりと地質の調査や研究が積み重ねられ、検討が進められてきたものですから、地層処分という事業は成立すると考えています。そして提言もまた地層処分事業、それ自体を否定しているものではなく事業を進めていく上で今まで以上に皆さんの理解や合意が必要であるといっているのだと思います。そうした意味では、私どもNUMOはこのようなワークショップなどの活動を今まで以上にしっかりやっていかなければならないと考えています。
4. 学術会議の提言にあった暫定保管をドライキャスクでやれば良いのではないか
ご意見ありがとうございます。
先ず「ドライキャスク」についてお話ししますが、これは使用済燃料を貯蔵する一つの方法でして、茨城県の東海村にある日本原子力発電の発電所や、青森県むつ市に建設中で来年10月に事業開始予定の「リサイクル燃料備蓄センター」で行われているものです。これは使用済燃料を金属製のキャスクと呼ばれる専用の容器に入れて、建屋の中で貯蔵する(乾式 金属キャスク貯蔵方式)ものです。
これに対して、プールに張った水の中に貯蔵ラックと呼ばれる「棚」を設けてそこに使用済燃料を貯蔵する方式を(湿式)プール貯蔵方式と言います。発電所を見学したことがある方は、このプールの底に使用済燃料が保管されているところを見たことがあるかと思います。
どちらの方法を採るにせよ、あくまでも一時的なもので、例えばドライキャスクが導入される“むつ市の施設”では最長50年間の貯蔵が予定されていて、提言にあった長ければ数百年間という暫定保管の期間を考えて作られたものではありません。
このような使用済燃料の保管方法に対する議論も必要であると思いますが、使用済燃料を再処理したあとに残るガラス固化体、それ自体は既に存在しているのですから、その処分について考えなければならないと思います。
5. 処理方法として地下に埋めるだけっていうのは原始的じゃないか、処理時間がかかり過ぎるのではないか
先ずはガラス固化体の放射線量が時間の経過とともにどうなっていくのかということから説明します。
ガラス固化体の放射線量は製造直後の数字で言うと、大体毎時1,500シーベルトとなります。この値というのは、万が一そのガラス固化体に抱きついたら、数十秒で人の生死に影響を与えるといった非常に高いものです。しかし、放射性物質というのは、いつまでも高い放射能を持ち続けるものではありません。ガラス固化体を六ヶ所村にある貯蔵管理センターで管理している間にも、放射線量は減っていきます。これを「減衰」と言うのですが、例えば50年間中間貯蔵した後のガラス固化体の放射線量は、製造直後のものと比べると10分の1程度、1万年後には10万分の1程度になるのです。では、1万年が経過して放射線量が当初の10万分の1になったガラス固化体が自分たちのすぐそばにあっても安全か、と聞かれるとどうか。残念ながら、安全ですとは言えません。
ですから、ガラスで固めるだけではなく、オーバーパックという金属製の容器で覆い、さらに粘土で覆ったうえで300mよりも深い安定した岩盤の中に埋めるのです。こうすることによって万が一ガラス固化体から溶け出した放射性物質が地上に出てきたとしても、私たちが普段自然界から受けている放射線量と比べてもかなり小さい値で、その影響もほとんどありません。
次に、「原始的」という指摘ですけれども、地下にただ単に埋めるということではなく、それ以前に火山のないところ、侵食の起こりにくい場所など、地質調査をしっかりやって場所を選定します。具体的には3段階のステップを考えていて、まず始めにさまざまな文献で調査を行い、次にボーリング調査などで地質を調べ、そして最終的には実際に地下に調査施設を作って処分地を選定するといった文献調査、概要調査、精密調査の3段階の過程を経ることになります。
また、地層処分は「地層が本来持っているものを閉じ込める力」を利用するので、そうした意味からは「原始的」という指摘はそのとおりだと思います。ですが先ほどお話ししたとおり、放射性物質が減衰して私たちの身近にあっても安全なものとなるには数十万年単位の時間がかかります。だからこそ人工バリアという工学的な技術を用いながらも、最後は人間が積極的に関与しなくても自然がもともともっている性質に委ねるという、ある意味原始的な方法である地層処分が選択されたのだと考えています。
6. 高レベルと低レベルという言葉があるが、それぞれどのようなものか
先ず高レベル放射性廃棄物についてですが、これは使用済燃料かガラス固化体のことを言います。最近耳にした方もいると思いますが、使用済燃料を再処理することなくそのままの形態で処分する、いわゆる「直接処分」を行う場合は、この使用済燃料自体が高レベル放射性廃棄物という扱いになります。しかし、これまで日本では、使用済燃料のなかで使えるものは使うということで海外に委託して再処理を行ってきましたので、再利用できずに残ったものが高レベル放射性廃棄物ということになります。また、厳密に言えば、再処理過程での放射性物質を含んだ廃液のことを高レベル放射性廃棄物と呼ぶこともありますが、簡単に、高レベル放射性廃棄物とはその廃液とガラス原料を融かしあわせてできたガラス固化体のことと考えてかまいません。
次に低レベルの放射性廃棄物について簡単にお話しすると、例えば発電所のいわゆる放射線管理区域、放射線があるかその恐れがある区域のことですが、そこの床を拭いた紙タオルですとか、作業服ですとか、そういったものを燃やしたり、圧縮したりして量を減らした後、200Lのドラム缶に詰めたもので、含まれる放射性物質の量もゼロかあってもごくわずかなものです。ですがやはり発電所の中からできてきたものというのは、放射性廃棄物として管理しなくてはいけません。こうしたものを低レベル放射性廃棄物、国によっては、その放射能レベルに応じて例えば中レベルと定義しているところもありますが、日本では、高レベル放射性廃棄物と2つに分けてこう呼んでいます。
また、これらの低レベル放射性廃棄物は青森県六ヶ所村にある「低レベル放射性廃棄物埋設センター」というところに埋めて処分しています。
なお、低レベル放射性廃棄物のなかには、使用済燃料を再処理する際にでてくる燃料を被っていた金属のかけらやフィルタというようなものもあり、これらは私どもNUMOが地層処分を行うことになっています。
大まかに言えば、発電所から出てくる廃棄物は、使用済燃料もしくはそれに由来する高レベル放射性廃棄物とそれ以外の低レベル放射性廃棄物に二分されると考えて差し支えないと思います。
7. 海外に高レベル放射性廃棄物を持って行くということを検討できないのか
高レベル放射性廃棄物の処分方法に関する国際的な議論により、原子力を利用する国々はそれぞれ自国で処分することで進めています。日本もまた、そうした国際的な議論や国内の研究成果に基づいて地層処分を行うための法律が作られ、私どもNUMOができたわけですから、海外へ持っていくというのは一つの考え方として貴重なものであると思いますが、現状、私どもNUMOが検討することではないと考えています。
8. 安全評価はどのように行っているのか、地中内での被ばくについて検討しているのか
安全性の評価は、将来、ガラス固化体から放射性物質が地下水に溶け出し、それが地表に現れるまでのいろいろな不確実な事象を加味した何通りものシナリオを想定して行っています。そして、それぞれのシナリオごとにより安全サイドにたった厳しめの数値を採用して計算することで、地層処分が安全に行えるものであることを確認しています。
なお、東日本大震災を踏まえ、自然現象に起因して起こりうる影響についても再確認を行っており、将来、処分場の候補地が決まれば、詳細な調査の結果と合わせて、その設計などに反映していく予定です。
地中の被ばくの評価ということに関してお話しすると、地層処分で回避しようとするリスクは、簡単に言うと放射性物質が放射能レベルの高い段階で私たちの生活環境にでてきて影響を及ぼすことです。また深い地層の中ではもともと酸素がほとんど無く生物もいないことも考えると地中の被ばくということを特には検討する必要はないと思います。
なお、地中内というか、施設内での作業中労働者に対する被ばくについては、処分場までの廃棄物の輸送、受け入れ時や処分坑道への定置、その後に行う坑道の埋め戻しといった各作業の際に検討が必要となります。処分場への移送作業などでは専用の容器(輸送用キャスク)に入れて放射線を遮へいするなど適切に防御しますし、坑道の中で行う輸送、定置、埋め戻しといった作業はリモートマニュアル、いわゆる遠隔操作で無人で行う予定です。
9. 今現在の量がどれくらいあるのか
昨年末の数字となりますが、ガラス固化体の形になっているものは、国内に1,780本あります。この内訳をお知らせすると、六ヶ所村にある日本原燃株式会社の「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」に1,500本強。この内1,400本位がこれまで再処理を委託していたフランスから返却されたもので、残りの100本強の分が建設中の再処理工場での試験によって生じたものです。その他に茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構(JAEA)の研究施設の中にも250本程度が貯蔵管理されています。
こうした既にガラス固化体となっている1,780本という本数に、各原子力発電所にある使用済燃料プールに再処理する前の使用済燃料として保管されているものや再処理を委託していてまだガラス固化体の返還を受けていないイギリスからの返還分も加えると、ガラス固化体に換算するとだいたい24,700本のガラス固化体が既に発生していることになります。
それから、こうしたガラス固化体がどれ位の量、発生するのかということについてですが、ほとんどの原子力発電所が運転していない現状ではガラス固化体の発生量もわずかとなりますが、全ての発電所が運転を再開すると、一年間でだいたい1300本から1600本生じる計算になります。
また、量ということなのでガラス固化体の大きさについても紹介します。ガラス固化体は高さが約1.3メートル、直径が約40センチの筒状のもので、この中に放射性物質を融かし込んだガラスがだいたい150L入っています。それでこの150Lという容量についてですが、人生80年、その間に使う電気の半分を原子力発電でまかなうとすると、そこからでる放射性物質を含んだガラスはゴルフボール3個分、150cc位となります。ですから、ガラス固化体一本で大ざっぱな計算ですけど1,000人分の廃棄物ということになります。

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