
原子力発電環境整備機構
わが国では、発電電力量の3分の1以上が原子力発電によって賄われています。
原子力発電を行いますと、使用済燃料中に高レベルの放射性物質が生じます。これを使用済燃料のまま処分することとしている国もありますが、わが国では、使用済燃料を再処理してウラン及びプルトニウムを抽出し、再度原子力発電用燃料(原子燃料)として利用するリサイクル方式をとり、資源の有効利用を図る方針がとられています。エネルギー資源に乏しく、その海外依存度の高いわが国では、将来にわたって電力を安定供給するために、原子燃料のリサイクルが極めて重要です。
使用済燃料の再処理の過程で、高レベルの放射性物質は高レベル放射性廃棄物として分離されます。この廃棄物の放射能レベルは、時間とともに低下していきますが、寿命の長い放射性物質も含まれているため、その低下には長い年月を要します。このため、高レベル放射性廃棄物は、人間の生活環境から隔離して最終処分することが必要であり、現在、原子力発電を行っている各国でも、地層処分(地下の深い安定した地層中に隔離することをいいます。)することが共通 の考え方となっています。わが国では、その方法として、高レベル放射性廃棄物を安定な形態(ガラス固化体)に固形化し、30~50年間程度貯蔵して冷却した後、国内で地層処分する方針です。
わが国では、このための制度づくりが他の国より遅れていましたが、平成12年5月に、国会で「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(以下「最終処分法」といいます。)が成立し、特定放射性廃棄物(発電用原子炉の使用済燃料の再処理後に残存する高レベル放射性廃棄物を固形化したものをいいます。)の最終処分を計画的かつ確実に実施させるために必要な措置等が制度化されました。また、同年10月に、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」及び「特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画」(以下「最終処分計画」といいます。)が、閣議の決定を経て定められました。
この最終処分事業を実施するための機関として、最終処分法に基づいて、同じく10月に、「原子力発電環境整備機構(略称:「原環機構」)」が設立されました。また、原環機構は、最終処分法に基づいて、処分のための資金として電気事業者等から拠出金の徴収を始めています。
わが国においても、原子力発電は、すでに30年以上にわたって行われ、今も電力を供給し続けていますが、これに伴って使用済燃料も蓄積され、その再処理によって発生する特定放射性廃棄物の量 (今後の見込み量を含みます。)も増加してきています。これを長期にわたり安全・確実に最終処分することは、原子力発電による電気を使用している私たちの世代の責任と負担によって行われるべきであると考えられています。
原環機構は、こうした考え方のもとに、今後その事業を進めてまいります。事業の運営にあたっては、最終処分法等に従って、安全の確保を旨とし、適切な情報の公開により透明性を確保するとともに、国民及び地域住民の皆様の理解と協力を得るように努めてまいります。すでに、原環機構は、情報公開規程を定めており、積極的に、正確でかつ分かりやすく、情報の公開を行い、また、求められる情報の提供に誠実に対応しています。そして、主要な情報は、インターネット上のホームページで公表しています。また、国は、特定放射性廃棄物の最終処分施設建設地の選定過程や選定の理由等について外部から確認するため、総合資源エネルギー調査会原子力部会の下に「高レベル放射性廃棄物処分専門委員会」を設置し、同専門委員会は、本年4月から活動を開始しています。
特定放射性廃棄物を地層処分し、長期間の安全を確保する方法及び技術については、多くの研究成果が積み重ねられています。原環機構が最終処分を行う場合についての安全の確保のため、別に法律が制定され、規制が行われることが最終処分法で定められています。また、原子力安全委員会では、そのための検討が開始されています。
最終処分事業は、概要調査地区、精密調査地区及び最終処分施設建設地(以下「概要調査地区等」といいます。)の選定、最終処分施設の建設、最終処分、最終処分施設の閉鎖そして閉鎖後管理と進められていきます。その最初にして最大の課題は、概要調査地区等の選定であり、以下の記述は、その選定の過程の透明性を確保するとともに、広く国民、自治体及び地域住民の皆様の理解と協力をお願いする観点から、原環機構が概要調査地区等を選定する方法、時期等を含め、基本的な手順を説明するものです。