• 地層処分とは、地層が本来持っている閉じ込める能力を利用し、長期にわたって安全に放射性物質を人間の生活環境から隔離し閉じ込める処分方法です。地層の放射性物質を閉じ込める機能(天然バリア)と、さらに放射性物質の閉じ込めをより確実にするために人工的に施される人工バリアを組み合わせた多重バリアシステムにより、放射性物質を長期間にわたり地層に閉じ込め、私たちの生活環境から隔離します。

    天然バリアとしての役割を担う地層の閉じ込め能力について説明します。
    まず、放射性物質を移動させてしまうと考えられている地下水ですが、その動きは地下深部では非常に遅く、場所によっては、1年間でわずか数ミリメートル程度しか動かないと言われています。さらに地層には、地下水に溶けている物質を吸着する能力があります。このため、放射性物質は地下水の何十分の1、場合によっては何千分の1にも満たない速度で移動することになります。そして、その間にも、放射性物質は放射性崩壊により減衰していきます。また、地下深部は、酸素がきわめて少ない環境のため、金属の腐食が起こりにくく、オーバーパックによる放射性物質の閉じ込め機能の点でも適していると言えます。

    このような地層の閉じ込め能力を示す例として、古代ローマ時代の遺跡の地下数メートルのところから発見された2,000年前の原形をとどめている釘、イタリアの粘土層から発見された、のこぎりで切れるほどの状態を保った約200万年前の巨木などがあります。このように、地層には物質を長期間閉じ込めておくことができる能力があります。
    建物や地下鉄などによる地下利用の深度は数十メートル程度ですが、地層処分では300メートルよりも深く埋設し、放射性物質を人間の生活環境から隔離します。
    地層はさまざまな機能で私たちを放射性物質から守ってくれる、天然のバリアなのです。

     

    多重バリアシステムイメージ図

     

    地層によって長期間保存されていた古代遺物

     

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