中期事業目標

中期事業目標の策定に当たって

 原子力発電環境整備機構は、原子力発電に伴い発生する使用済み燃料の再処理過程で回収される放射性廃棄物の地層処分を実現することを使命としています。この使命を達成するために、機構は、安全の確保を大前提に、施設の立地候補地点を定めるための文献、概要、精密調査を進め、国の安全規制に係る安全審査を経て地層処分施設の建設・操業・閉鎖等を行います。この取組みは皆様のご理解を得ながら進めて行くべきものですので、私どもは、調査地域の関係住民との間で相互理解を増進する活動を継続的に実施するとともに、地域の信頼を得られるよう関係住民と様々な交流を積極的に図り、共生していくことに努めます。加えて、皆様の信頼の基礎となる技術的能力を、絶え間ない技術開発活動を通じて磨いて参ります。

 このような取組みを着実に積み重ね、総合的に取り組んでいくべき地層処分事業はおよそ100 年間を要し、様々な段階を経て実現されるものです。そこで私どもは、このたび、地域における文献調査の円滑な実施に至るまでを最初の中期事業期間と位置づけ、この期間に達成すべき対話活動、技術開発、組織運営の取組みに関する目標を中期事業目標として定めることとしました。理事会で作成した原案に対して評議員会においてさまざまな観点からのご意見を頂戴した上で、9月20日の理事会において以下に示すように決定しましたので、お知らせします。

平成28年9月20日

Shunsuke Kondo

原子力発電環境整備機構 中期事業目標

 放射性廃棄物の地層処分は国民的課題であり、原子力発電環境整備機構はその実現を使命としています。

 このため機構は、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に基づき、安全の確保を大前提に、文献、概要、精密調査を進めて地層処分施設建設地を選定し、同施設の建設・操業・閉鎖等を行います。また、同法に定める「基本方針」(2015年5月閣議決定)に基づき、調査地域の関係住民との間で相互理解を増進する活動を継続的に行うとともに、関係住民との共生関係を築くために様々な交流を積極的に図り、地域の信頼を得られるように努めます。加えて、経済性及び効率性の向上等を目的とする技術開発を進めます。

 これらについて総合的に取り組んでいく地層処分事業はおよそ100年間を要し、着実な取組みを積み重ね、様々な段階を経て実現されるものです。そこで機構は、文献調査の実施に至るまでを最初の中期事業期間と位置づけ、この期間に達成すべき対話活動、技術開発、組織運営の取組みに関する目標を、以下のとおり中期事業目標として設定いたします。

  • 中期事業目標

【文献調査の受入れの実現と円滑な実施を目指す対話活動】

(1)
地域の方々への積極的な情報提供と意見交換、地域団体等が行う主体的な学習への支援、地域全体への広がりにつながる取組みなどを実施し、国及び電気事業者等との連携を一層強化しつつ、丁寧な対話を積み重ねることにより、文献調査の受入れの実現を目指す。
(2)
地層処分事業の実現は社会全体の利益であることを踏まえて、文献調査を受け入れていただく地域に対する敬意や感謝の念が国民の間で共有されるよう、国及び電気事業者等と連携して全国レベルでの対話活動にも取り組む。
(3)
文献調査の実施段階においては、当該自治体の理解を得ながら、多様な関係住民が参画する対話の場を通じて、関係住民と機構との間での相互理解が深まり、機構への信頼が高まるよう、顔の見えるコミュニケーションを積極的に図る。

【長期事業展開も見据えた技術的信頼性向上を目指す技術開発】

(1)
我が国において地層処分事業が確実に実現できること及びその安全性が確保されることを体系的に示し、一般の方々を含めて広く分かりやすく積極的にコミュニケーションを図ることにより、機構の有する技術力への信頼性の一層の向上を図る。
(2)
長期にわたる地層処分事業を的確に遂行するため、文献調査、概要調査等の事業展開の各段階に備えた技術開発に関する総合的な計画を随時見直し、これを着実に推進する。
(3)
内外の関係機関の協力を得ながら、実施主体としてのリーダーシップと企画力をもって我が国における処分技術に係る技術開発全体を俯瞰し、その整備と向上を牽引する。

【人材育成など事業基盤の高度化を目指す組織運営】

(1)
事業の着実な遂行と長期的な展開に備えて、必要となる人材の規模や職能を明らかにし、電気事業者等及び関係機関の協力を得ながら、計画的に要員の確保と育成を進める。
(2)
組織体制の整備と充実ならびにリスク管理活動などを含めた的確な運営等を通じて、ガバナンスの高度化および職場総合力の向上と活性化を図る。
(3)
全ての事業費は電気料金を原資としていることを深く認識し、様々な手立てを通じて事業効率化を徹底するとともに、状況の変化等に応じて事業費の見積もりを定期的に見直し、その確実な確保に努める。

 なお、以上の目標を実現するための具体的な方策については、以下の個別計画において、それぞれの策定時期に定めることとします。

「対話活動計画(仮称)」(科学的有望地提示までに)
「中期技術開発計画」(随時見直し)
「中期人材育成計画(仮称)」(科学的有望地提示までに)
毎年度の「事業計画」

以 上