ごあいさつ

理事長

 私どもは本日、2017(平成29)事業年度 事業報告書を公表しました。この機会にみなさまに一言ごあいさつ申し上げます。

 昨年7月、国により「科学的特性マップ」が提示されました。私どもNUMOは、これを地層処分の実現に至る道のりの最初の一歩と考え、国と共同してマップの提示前後に全国シンポジウムや意見交換会を開催し、地層処分の安全性や必要性に加え、処分地決定のためには地域社会のみなさまの協力を得ての地質環境の詳細な調査が必要であること、この調査と「科学的特性マップ」を提示したことの関係、マップに示された立地に係る要件・基準、事業を進めるにあたっての地域との共生の考え方等について、参加者のみなさまと車座で膝を突き合わせてご説明し、みなさまの考えや意見を伺い、疑問に対して丁寧にお答えしてまいりました。

 しかしながら、昨年11月、この意見交換会の参加者募集に際して不適切な取扱いのあったことが判明しました。これは私どもの委託業務及び再委託業務の管理、特にリスク管理体制が不十分であったことに起因するものでした。そこで、私どもは意見交換会をいったんリセットするとともに、外部の有識者からなる評議員会に弁護士にも参加いただいて調査チームを設置し、事案の原因等について調査していただき、年末には評議員会から再発の防止及び組織の改革等の提言をいただきました。

 私どもはこの事案発生を深く反省し、新たに「リスク管理室」を設置して事業におけるリスク管理の取組みを徹底して再発防止に努めることとしたうえで、これまでの意見交換会の運営方法を改めて「手作り・直営」で実施することとし、会合等の公正性を確保するためのルールの明確化や参加者目線に立った新たな取組みを取り入れることとし、その有効性を検証するために「対話型全国説明会」を試行的に実施しました。また若手職員を含む部門横断の「対話活動改革チーム」を立ち上げて新たな対話活動のあり方を検討し、評議員会のご審議を経て「対話活動改革アクションプラン」を定めました。更に、二度と同じ過ちを犯さない決意で経営理念を改定し、事業遂行における公正性の確保やリスク管理の徹底等を明確にしました。

 「対話活動」に関しては、この他、夏休みの親子見学会の開催、地層処分模型展示車の全国巡回、教育関係者によるワークショップへの支援、大学等における出前授業、大学のディベート授業への協力、全国各地の諸団体が行う地層処分事業についての学習活動への支援等を行ってまいりました。

 次に「技術開発」の分野においては、「地層処分事業の技術開発計画」(「中期技術開発計画(2013年度~2017年度)」)に基づき、NUMOの技術力及び品質管理能力の向上を図る観点等から実施内容や実施時期を適宜見直しつつ、地質環境特性の調査・評価、人工バリアの設計・施工技術等の工学的対策、事業期間中の安全確保、閉鎖後の長期安全性評価等に関する各種技術開発を計画的に進めました。あわせて関連する技術開発成果の学会発表や論文発表を積極的に行い、関係学会等の専門家との情報交流に努めました。その成果を踏まえて長期の事業展開を見据えてNUMOの技術的信頼性の向上を目指す技術開発の取組みの一つである「包括的技術報告書」の公表に向けて、その内容を更に充実させました。また、同報告書の内容を基に地層処分の技術について幅広い読者を対象に解説した冊子(導入編)のドラフト版の改訂を進めるとともに、日本原子力学会によるレビューの準備などを進めました。

 更に、国による地層処分研究開発調整会議は、「地層処分研究開発に関する全体計画(平成30年度~平成34年度)」を策定しましたが、NUMOはこの策定にあたって専門家として評価・提言を行いつつ関係機関の協議・調整をリードしました。また、これを踏まえてNUMOの新たな「中期技術開発計画(2018年度~2022年度)」(2018年6月公表)の策定に取り組みました。

 私どもは、社会のみなさまから信頼される組織を目指して業務品質の更なる高度化を図り、業務のリスク管理を確実に実施するとともに、中期事業目標の実現を目指して、評議員会から頂戴した評価・提言の事業実施への速やかな反映、NUMO自身による自己点検等の様々な施策を通じて事業を進めてまいります。

 国民のみなさまには、これからも私どもの事業に対して関心を持っていただき、機会あるごとに叱咤激励いただきますよう、お願い申し上げます。

平成30年7月6日

近藤 駿介(Shunsuke Kondo)