業務方法書

第1章 総則

目的

第1条
この業務方法書は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成12年法律第117号。以下「法」という。)第61条第1項の規定に基づき、原子力発電環境整備機構(以下「機構」という。)の業務の方法を定め、その適正かつ円滑な運用を図ることを目的とする。

業務運営の基本方針

第2条
発電に関する原子力の適正な利用に資するため、発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理等を行った後に生ずる特定放射性廃棄物の最終処分の実施等の業務(以下「最終処分業務」という。)を行うことにより、原子力発電に係る環境の整備を図ることを機構の業務運営の基本方針とする。なお、最終処分業務は、法第20条で規定している安全の確保のための法律に従い行なうものとする。

広報及び情報公開

第3条
機構は、適切な情報の公開により業務の運営における透明性を確保するとともに、概要調査地区等及び最終処分施設の周辺の地域の住民等の理解と協力を得るよう努めるものとする。このため、特定放射性廃棄物の最終処分に関する広報の充実、強化に努めるとともに、保有する情報の公開に関して別に定める規程に基づき、公正で透明性のある運営を推進するものとする。

用語

第4条
この業務方法書で使用する用語は、法並びに法に基づいて規定された政令及び省令において使用する用語の例による。

第2章 概要調査地区等の選定

概要調査地区の選定

第5条
機構は、概要調査地区を選定しようとするときは、国の最終処分計画及び機構の承認実施計画に従い、次に掲げる事項について、あらかじめ、文献その他の資料による調査(以下「文献調査」という。)を行うものとする。
  1. 一 概要調査地区として選定しようとする地区及びその周辺の地域において過去に発生した地震等の自然現象に関する事項
  2. 二 前号の地区及び地域内に活断層があるときは、その概要に関する事項
  3. 三 一号の地区に第四紀の未固結堆積物があるときは、その存在状況の概要に関する事項
  4. 四 一号の地区に鉱物資源があるときは、その存在状況の概要に関する事項
2
機構は、文献調査を行ったときは、その結果に基づき、文献調査の対象となった地区のうち次の各号に適合していると認められるものの中から概要調査地区を選定するものとする。
  • 一 当該文献調査対象地区において、地震等の自然現象による地層の著しい変動の記録がないこと。
  • 二 当該文献調査対象地区において、将来にわたって、地震等の自然現象による地層の著しい変動が生ずるおそれが少ないと見込まれること。
  • 三 当該概要調査地区として選定しようとする地区内の最終処分を行おうとする地層が、第四紀の未固結堆積物であるとの記録がないこと。
  • 四 前号の地層において、その掘採が経済的に価値が高い鉱物資源の存在に関する記録がないこと。
3
機構は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律施行規則(平成12年通商産業省令第151号。以下「規則」という。)第6条の規定に基づき、法第6条第1項の規定により行った文献調査の結果に関し、報告書を作成するものとする。

報告書の送付

第6条
機構は、規則第7条の規定に基づき、前条第3項の報告書を作成したときは、関係都道府県知事及び関係市町村長に対し、報告書及びこれを要約した書類を送付するものとする。

報告書についての公告及び縦覧

第7条
機構は、報告書を作成したときは、規則第8条の規定に基づき、報告書を作成した旨等を公告し、関係都道府県内において、報告書及び要約書を公告の日から起算して30日以上の相当の期間を定めて縦覧に供するものとする。

説明会の開催

第8条
機構は、規則第9条の規定に基づき、前条の縦覧期間内に、関係都道府県内において、報告書の記載事項を周知するための説明会を開催するものとする。
2
機構は、説明会を開催するときは、できる限り説明会に参加する者の参集の便を考慮して、その開催を予定する日時及び場所を定め、これらを説明会の開催を予定する日の1週間前までに公告するものとする。
3
機構は、説明会の開催を予定する日時及び場所を定めようとするときは、関係都道府県知事及び関係市町村長の意見を聴くものとする。
4
第1項に基づく説明会が、規則第9条第4項の理由により開催することができない場合には、規則第9条第5項に規定する方法により、報告書の記載事項を周知するように努めるものとする。

報告書についての意見の概要等の送付

第9条
機構は、規則第11条の規定に基づき、規則第10条第1項の期間を経過した後、関係都道府県知事及び関係市町村長に対し、同項の規定により述べられた意見の概要及び当該意見についての機構の見解を記載した書類を送付するものとする。

報告書についての意見

第10条
機構は、規則第10条第1項の意見が述べられたときはこれに配意して、概要調査地区の選定をするものとする。

概要調査地区の選定に係る承認実施計画の変更

第11条
機構は、法第6条第2項の規定により概要調査地区を選定したときは、その承認実施計画に係る法第5条第2項第3号に掲げる事項の変更について経済産業大臣の承認を申請するものとする。

精密調査地区の選定

第12条
機構は、精密調査地区を選定しようとするときは、国の最終処分計画及び機構の承認実施計画に従い、次に掲げる事項について、あらかじめ、概要調査地区を対象とする概要調査を行うものとする。
  1. 一 当該概要調査地区内の最終処分を行おうとする地層及びその周辺の地層(以下この条において「対象地層等」という。)における地震等の自然現象による対象地層等の変動に関する事項
  2. 二 当該対象地層等を構成する岩石の種類及び性状に関する事項
  3. 三 当該対象地層等内に活断層があるときは、その詳細に関する事項
  4. 四 当該対象地層等内に破砕帯又は地下水の水流があるときは、その概要に関する事項
  5. 五 その他経済産業省令で定める事項
2
機構は、概要調査を行ったときは、その結果に基づき、概要調査の対象となった概要調査地区のうち次の各号のいずれにも適合していると認めるものの中から精密調査地区を選定するものとする。
  1. 一 当該対象地層等において、地震等の自然現象による地層の著しい変動が長期間生じていないこと。
  2. 二 当該対象地層等が坑道の掘削に支障のないものであること。
  3. 三 当該対象地層等内に活断層、破砕帯又は地下水の水流があるときは、これらが坑道その他の地下の施設(以下「地下施設」という。)に悪影響を及ぼすおそれが少ないと見込まれること。
  4. 四 その他経済産業省令で定める事項
3
機構は、規則第13条の規定に基づき、法第7条第1項の規定により行った概要調査の結果に関し、報告書を作成するものとする。
4
第6条から第10条までの規定は、第3項の報告書について準用する。

精密調査地区の選定に係る承認実施計画の変更

第13条
機構は、法第7条第2項の規定により精密調査地区を選定したときは、その承認実施計画に係る法第5条第2項第3号に掲げる事項の変更について経済産業大臣の承認を申請するものとする。

最終処分施設建設地の選定

第14条
機構は、最終処分施設建設地を選定しようとするときは、国の最終処分計画及び機構の承認実施計画に従い、次に掲げる事項について、あらかじめ、精密調査地区を対象とする精密調査を行うものとする。
  1. 一 当該精密調査地区内の最終処分を行おうとする地層(以下この条において「対象地層」という。)を構成する岩石の強度その他の当該対象地層の物理的性質に関する事項
  2. 二 当該対象地層内の水素イオン濃度その他の当該対象地層の化学的性質に関する事項
  3. 三 当該対象地層内に地下水の水流があるときは、その詳細に関する事項
  4. 四 その他経済産業省令で定める事項
2
機構は、精密調査を行ったときは、その結果に基づき、精密調査の対象となった精密調査地区のうち次の各号のいずれにも適合していると認めるものの中から最終処分施設建設地を選定するものとする。
  1. 一 地下施設が当該対象地層内において異常な圧力を受けるおそれがないと見込まれることその他当該対象地層の物理的性質が最終処分施設の設置に適していると見込まれること。
  2. 二 地下施設が当該対象地層内において異常な腐食作用を受けるおそれがないと見込まれることその他当該対象地層の化学的性質が最終処分施設の設置に適していると見込まれること。
  3. 三 当該対象地層内にある地下水又はその水流が地下施設の機能に障害を及ぼすおそれがないと見込まれること。
  4. 四 その他経済産業省令で定める事項
3
機構は、規則第14条の規定に基づき、法第8条第1項の規定により行った精密調査の結果に関し、報告書を作成するものとする。
4
第6条から第10条までの規定は、第3項の報告書について準用する。

最終処分施設建設地の選定に係る承認実施計画の変更

第15条
機構は、法第8条第2項の規定により最終処分施設建設地を選定したときは、その承認実施計画に係る法第5条第2項第3号に掲げる事項の変更について経済産業大臣の承認を申請するものとする。

最終処分施設の設置

第16条
機構は、選定した最終処分施設建設地において、最終処分施設を設置するものとする。

第3章 最終処分施設の建設及び改良、維持その他の管理

最終処分施設の建設及び改良、維持その他の管理の方法

第17条
機構は、最終処分施設の建設及び改良、維持その他の管理を行うものとする。

第4章 拠出金の徴収等

拠出金の徴収

第18条
機構は、法第11条第1項及び法第11条の2第1項の規定に基づき、法第12条の規定に基づき拠出金を納付することを届け出た発電用原子炉設置者及び再処理施設等設置者(以下「発電用原子炉設置者等」という。)から毎年、拠出金を徴収するものとする。
2
発電用原子炉設置者等から徴収する拠出金の額は、法第11条第2項及び法第11条の2第2項の規定に基づき算出した額とする。

拠出金の収納

第19条
機構は、発電用原子炉設置者等から申告書に添えて拠出金の納付があったときは、当該申告書の受理及び当該拠出金の収納を行うものとする。
2
機構は、発電用原子炉設置者等が各年の3月1日までに当該年の拠出金に係る申告書を提出しないとき、又は規則第21条に規定する事項の記載の誤りがあると認めたときは、拠出金の額を決定し、これを発電用原子炉設置者等に納入告知書により通知するものとする。
3
前項の納入告知書には、その納付すべき金額、納付すべき期日及び納付すべき場所を指定して記載するものとする。

拠出金の充当及び還付

第20条
機構は、発電用原子炉設置者等が納付した拠出金の額が、前条第2項の規定により機構が決定した拠出金の額を超える場合には、その超える額について、未納の拠出金その他法の規定による延滞金があるときはこれに充当し、なお、残余があれば還付し、未納の徴収金がないときはこれを還付するものとする。
2
機構は、前項により充当をしたときは、その旨をその充当に係る徴収金の納付義務者に通知するものとする。

拠出金の延納

第21条
機構は、災害その他やむを得ない理由があると認めたときは、発電用原子炉設置者等の申請に基づき、その者の納付すべき拠出金を延納させることができる。

徴収金の記録

第22条
機構は、発電用原子炉設置者等ごとに拠出金その他法の規定による徴収金の額、納付期日等徴収金の収納について記録するものとする。

資料の提出の請求

第23条
機構は、法第56条第1項第1号ホ及び法第56条第1項第2号ホに掲げる業務を行うために必要があるときは、発電用原子炉設置者等に対し、資料の提出を求めるものとする。

督促の方法

第24条
機構は、納付義務者が納期限までに、拠出金を納付しないときは、督促状を発するものとする。この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して10日以上経過した日とする。

滞納処分

第25条
機構は、前条の督促を受けた納付義務者がその指定の期限までにその督促に係る拠出金及び延滞金を納付しないときは、国税の滞納処分の例により、経済産業大臣の認可を受けて、滞納処分をすることができる。
2
第1項の滞納処分に当たる職員は、規則第26条に定める様式の証明書を提示するものとする。

延滞金

第26条
機構は、第24条の規定により拠出金の納付を督促したときは、その督促に係る拠出金の額につき、年14.5%の割合で、納期限の翌日から完納の日又は財産の差押えの前日までの日数により計算した延滞金を徴収するものとする。ただし、規則第27条に定める各号のいずれかに該当する場合は、この限りではない。
2
前項に規定する延滞金の徴収は、納入告知書により行うものとする。
3
第19条第3項の規定は、前項の納入告知書に準用する。

最終処分積立金の積み立て

第27条
機構は、拠出金の納付を受けたときは、その納期限(納付義務者が納期限までに拠出金を納付しないときは、その拠出金の完納の日)の翌日から起算して30日以内に、当該拠出金の総額を経済産業大臣が指定する法人(以下「指定法人」という。)に積み立てるものとする。
2
機構は、指定法人が指定された際には、指定法人との間に書面により最終処分積立金の管理等に関する契約を締結するものとする。

最終処分積立金の取り戻し

第28条
機構は、最終処分業務の実施に必要な費用の支出に充てるため、経済産業大臣の承認を受けて、最終処分積立金を取り戻すものとする。

区分経理

第29条
機構は、第一種最終処分業務に係る経理及び第二種最終処分業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定を設けて、整理するものとする。

第5章 委託を受けて行う業務

業務の受託

第30条
機構は、法第56条第2項の規定に基づき、法第56条第1項の業務の遂行に支障のない範囲内で、委託を受けて次の業務を行なうことができる。
  1. 一 法第56条第2項第1号に掲げる業務
  2. 二 法第56条第1項第1号イからニ並びに第2号イからニに掲げる業務及び法第56条第2項第1号に掲げる業務のために必要な調査
2
機構は、前項の規定により受託業務を行う場合には、委託をする者から受託業務に係る費用を徴するものとする。
3
第1項の規定により業務を受託するときは、委託者との間に書面により業務委託契約を締結するものとする。
4
機構は法第56条第2項第1号の業務を行なうときは経済産業大臣の認可を受けなければならない。

第6章 委託する業務

業務の委託

第31条
機構は、法第57条の規定に基づき、経済産業大臣の認可を受けて、法第56条第1項第1号イからニまで及び第2号イからニまでに掲げる業務(これらの業務に附帯する業務を含む。)の一部を委託することができる。

第7章 その他必要事項

国際協力

第32条
機構は、外国の処分実施機関等と協力し、処分事業の推進に必要な情報交換等を行うものとする。

技術開発

第33条
機構は、最終処分事業の安全な実施、経済性及び効率性の向上等を目的とする技術開発を行うものとする。また、技術開発の実施に当たっては、国内外の関係機関と協力、調整して、効率的な推進に努めるものとする。

地域との共生

第34条
機構は、最終処分業務が、概要調査地区等に係る関係住民との共生関係を築き、あわせて、地域の自立的な発展、関係住民の生活水準の向上や地域の活性化につながるものになるように、最終処分事業と地域との共生について、関係地方公共団体が地域の特性をいかした多様な方策を主体的に検討することができるよう協力することとする。

細則

第35条
機構は、この業務方法書に定めるもののほか、その業務の運営について必要があるときは、細則を定めるものとする。

附則

この業務方法書は、通商産業大臣の認可を受けた日(平成12年11月6日)から施行する。

附則

この業務方法書は、経済産業大臣の認可を受けた日(平成20年4月1日)から施行する。

附則

この業務方法書は、経済産業大臣の認可を受けた日(令和6年2月16日)から施行する。