文献調査実施要領

(総則)

第一条
原子力発電環境整備機構(以下、「機構」という。)業務方法書第三十五条に基づき、文献調査実施要領を定める。

(用語)

第二条
この実施要領で使用する用語は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号。以下、「法」という。)、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律施行規則(平成十二年通商産業省例第百五十一号。)及び特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針(平成二十七年五月二十二日閣議決定。以下、「基本方針」という。)で使用する用語の例による。

(概要調査地区の選定)

第三条
機構は、概要調査地区を選定しようとするときは、国の最終処分計画及び機構の承認実施計画に従い、次に掲げる事項について、あらかじめ、文献調査を行うものとする。
  1. 一 概要調査地区として選定しようとする地区及びその周辺の地域において過去に発生した地震等の自然現象に関する事項
  2. 二 前号の地区及び地域内に活断層があるときは、その概要に関する事項
  3. 三 一号の地区に第四紀の未固結堆積物があるときは、その存在状況の概要に関する事項
  4. 四 一号の地区に鉱物資源があるときは、その存在状況の概要に関する事項
2
機構は、文献調査の結果に基づき、文献調査対象地区のうち次の各号に適合すると認められるものの中から概要調査地区を選定するものとする。
  1. 一 当該文献調査対象地区において、地震等の自然現象による地層の著しい変動の記録がないこと。
  2. 二 当該文献調査対象地区において、将来にわたって、地震等の自然現象による地層の著しい変動が生ずるおそれが少ないと見込まれること。
  3. 三 当該概要調査地区として選定しようとする地区内の最終処分を行おうとする地層が、第四紀の未固結堆積物であるとの記録がないこと。
  4. 四 前号の地層において、その掘採が経済的に価値が高い鉱物資源の存在に関する記録がないこと。
3
機構は、第1項については、科学的特性マップの作成に用いられた全国規模で整備された文献・データの最新版を収集するとともに、文献調査対象地区に関連した地質図や学術論文などの必要な文献・データを収集する。第2項については、各号への適合性の検討に加えて、技術的な観点、経済社会的な観点から、どの地層がより好ましいと考えられるかなどの検討や、土地の利用制限などの検討を実施する。

(文献調査への応募の受付)

第四条
機構は、市町村長から文献調査への応募を受け付ける。
2
前項の規定により文献調査へ応募を行う市町村長は、次に掲げる事項を記載した書面(以下「応募書」という。)を機構に提出する。この場合において、応募する地区が複数の市町村にまたがる場合は、該当する市町村長の連名による応募とする。
  1. 一 当該市町村名
  2. 二 当該市町村長名及び公印
  3. 三 当該文献調査に応募する地区の所在地
  4. 四 連絡先
3
機構は、応募書の提出があったときは、当該市町村長が応募した地区に係る調査の実施見込みについて、科学的特性マップに用いられた文献・データの最新版、科学的特性マップにおける当該地区の特性区分などを参照して確認する。
4
機構は、前項の確認の結果、当該地区に係る調査の実施見込みが確認できない場合を除き、当該地区に係る文献調査を実施する。

(国から市町村長への申し入れ)

第五条
前条第3項の規定は、国が、市町村長に文献調査の実施を申し入れしようとするとき、国から調査の実施見込みの確認について依頼を受けた場合に準用する。この場合において、同項中、「応募した地区」とあるのは「確認する地区」と読み替える。
2
機構は、前項の依頼に基づき調査の実施見込みがあることが確認された地区であって、当該地区を管轄する市町村長が申し入れに受諾した旨の通知を国から受領したときは、文献調査を実施する。

(文献調査の実施)

第六条
機構は、文献調査を実施しようとするときは、当該文献調査を実施する年度の事業計画に次に掲げる事項を記載し、法第六十四条に基づき、経済産業大臣の認可を受けることとする。
  1. 一 文献調査への応募及び申し入れの受諾の状況に関する事項
  2. 二 文献調査、相互理解促進活動及び情報提供の実施に関する事項
  3. 三 前号の実施体制に関する事項
2
機構は、前項の認可を受け、文献調査を実施するときには、あらかじめ、地区ごとに文献調査計画を作成し、次に掲げる事項を記載する。
  1. 一 所在地
  2. 二 概況
  3. 三 文献調査の項目、手法、進め方
  4. 四 関係市町村及び関係住民(以下、「地域の皆様」という。)、その他地域の関係者との相互理解促進活動及び情報提供の方法等
3
機構は、第1項の認可を得たときは、前項の文献調査計画に基づき文献調査を実施する。

(地域の皆様の理解の増進のための施策)

第七条
機構は、基本方針第3にある、「関係住民の理解と協力を得ることが極めて重要であり、そのためには、相互理解促進活動や情報公開を徹底し透明性を確保することが必要である。」という方針に基づき、次の各号に掲げる活動に取り組むものとする。
  1. 一 地域の皆様へ、文献調査計画の説明やその他の文献調査の実施に関する情報、最終処分に関する技術的情報等を含め、特定放射性廃棄物の最終処分に関する情報を積極的に提供する。
  2. 二 相互理解促進活動や情報提供を行うに当たっては、生活様式や居住環境が地域や人によって異なることを踏まえ、説明会の開催、図書館や公的集会所への資料の陳列、広報紙や広告等への掲載やインターネットの活用等、情報へのアクセス手段を多様化し、より多くの人々が必要な情報を入手できるようにすることに努める。
  3. 三 求められる情報の提供に誠実に対応するとともに、情報が正確であるだけではなく、情報を受け取る側にとってわかりやすいものとすることに努める。
  4. 四 地域の皆様の関心に十分に配慮し、調査の内容や進捗について定期的に報告を行う等、相互理解促進活動を継続的に行う。
  5. 五 地域の皆様に対し、対話の場の有用性や活動内容の可能性を具体的に示す等により、対話の場が円滑に設置され、積極的な活動が行われるようにする。
  6. 六 前号に定める対話の場の設置及び運営に際しては、地域の皆様と十分に相談し、その意向を尊重する。
  7. 七 専門家等からの多様な意見や情報の提供の確保を含め、対話の場での活動を継続的かつ適切に支援する。

(文献調査報告書の作成)

第八条
機構は、第三条第1項の規定によって行った文献調査の結果に関し、次に掲げる事項を記載した報告書を作成するものとする。
  1. 一 機構の名称及び住所
  2. 二 当該文献調査対象地区の所在地
  3. 三 当該文献調査対象地区の概況
  4. 四 当該文献調査の項目、手法及び結果
  5. 五 当該文献調査対象地区の評価及びその理由
  6. 六 当該文献調査の全部又は一部を他の者に委託して行った場合には、その者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名

(報告書の送付)

第九条
機構は、報告書を作成したときは、関係都道府県知事及び関係市町村長に対し、報告書及び要約書を送付するものとする。

(報告書についての公告及び縦覧)

第十条
機構は、報告書を作成したときは、報告書を作成した旨及び次に掲げる事項を公告し、関係都道府県内において、報告書及び要約書を公告の日から起算して一か月間縦覧に供するものとする。
  1. 一 機構の名称及び住所
  2. 二 当該文献調査対象地区の所在地
  3. 三 報告書の縦覧の場所、期間及び時間
  4. 四 報告書の内容について意見を書面により提出することができる旨
  5. 五 第十三条の意見書の提出期限及び提出先その他意見書の提出に必要な事項
2
前項の規定による公告は、次に掲げる方法のうち適切な方法により行うものとする。
  1. 一 官報への掲載
  2. 二 関係都道府県の協力を得て、関係都道府県の公報又は広報紙に掲載すること。
  3. 三 関係市町村の協力を得て、関係市町村の公報又は広報紙に掲載すること。
  4. 四 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙への掲載
3
第1項の規定により報告書を縦覧に供する場所は、次に掲げる場所のうちから、できる限り縦覧する者の参集の便を考慮して定めるものとする。
  1. 一 機構の事務所
  2. 二 関係都道府県の協力が得られた場合にあっては、関係都道府県の庁舎その他の関係都道府県の施設
  3. 三 関係市町村の協力が得られた場合にあっては、関係市町村の庁舎その他の関係市町村の施設
  4. 四 前三号に掲げるもののほか、機構が利用できる適切な施設
4
報告書の公表は、前項の場所において行うとともに、次に掲げるインターネットの利用による公表の方法のうち適切な方法により行うものとする。
  1. 一 機構のウェブサイトへの掲載
  2. 二 当該都道府県の協力を得て、当該都道府県のウェブサイトに掲載すること
  3. 三 当該市町村の協力を得て、当該市町村のウェブサイトに掲載すること
5
前項に規定する方法による公表は、報告書の内容を周知するための相当な期間を定めて行うものとする。

(対話の場における報告書の説明)

第十一条
機構は、前条第1項の縦覧期間内に、第七条第五号に規定する対話の場において、報告書の記載事項を周知するための説明を行うものとする。

(説明会の開催等)

第十二条
機構は、第十条第1項の縦覧期間内に、関係都道府県内において、報告書の記載事項を周知するための説明会を開催するものとする。
2
機構は、説明会を開催するときは、できる限り説明会に参加する者の参集の便を考慮して、その開催を予定する日時及び場所を定め、これらを説明会の開催を予定する日の一週間前までに公告するものとする。
3
機構は、説明会の開催を予定する日時及び場所を定めようとするときは、関係都道府県知事及び関係市町村長の意見を聴くことができる。
4
機構は、その責めに帰することができない事由であって次に掲げるものにより、第2項の規定による公告をした説明会を開催することができない場合には、当該説明会を開催することを要しない。この場合において、機構は、第十条第1項の縦覧期間内に、次項に規定する方法により、報告書の記載事項を周知させるように努めるものとする。
  1. 一 天災、交通の途絶その他の不測の事態により説明会の開催が不可能であること。
  2. 二 機構以外の者により説明会の開催が故意に阻害されることによって説明会を円滑に開催できないことが明らかであること。
5
前項の規定による報告書の記載事項の周知は、次に掲げる方法のうち適切な方法により行うものとする。
  1. 一 要約書を求めに応じて提供することを周知した後、要約書を求めに応じて提供すること。
  2. 二 報告書の概要を公告すること。
  3. 三 前二号に掲げるもののほか、報告書の記載事項を周知させるための適切な方法
6
第十条第2項の規定は、第2項及び前項第二号の規定による公告について準用する。

(報告書についての意見書の提出)

第十三条
報告書の内容について意見を有する者は、第十条第1項の公告の日から、同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して二週間を経過する日までの間に、機構に対し、意見書の提出により、これを述べることができる。
2
前項の意見書には、次に掲げる事項を記載するものとする。
  1. 一 意見書を提出しようとする者の氏名又は名称及び住所並びに法人その他の団体にあってはその代表者の氏名
  2. 二 意見書の提出の対象である報告書の名称
  3. 三 報告書の内容についての意見
3
前項第三号の意見は、日本語により、意見の理由を含めて記載するものとする。

(報告書についての意見の概要等の送付)

第十四条
機構は、前条第1項の期間を経過した後、関係都道府県知事及び関係市町村長に対し、同項の規定により述べられた意見の概要及び当該意見についての機構の見解を記載した書類を送付しなければならない。

(細則)

第十五条
機構は、この要領に定めるもののほか、文献調査の実施について必要な事項を定めることができる。
附 則
この業務実施要領は、令和二年十一月十六日から施行する。
この業務実施要領は、令和三年二月二日から施行する。
この業務実施要領は、令和三年九月二十八日から施行する。