『原子力発電のごみ』や『地層処分』について学ぶ。

原子力発電で使い終えた燃料をリサイクルする際に残る廃液をガラスと融かし合わせて固めたもの(ガラス固化体)が原子力発電のごみ、高レベル放射性廃棄物です。その処分問題に関心を持ったキャンパス・スコープ部員がNUMOの職員にインタビューを行いました。現在日本には約18,000tの使用済み燃料があり、すでにリサイクルされた分も合わせると、ガラス固化体の総数は約25,000本相当となります。この高レベル放射性廃棄物は様々な処分方法を検討した結果、私たちの生活環境に影響を及ぼさないよう地下深い所に処分する「地層処分」が最適な方法であることが世界共通の考え方となっているそうです。

- Q1原子力発電のごみ(高レベル放射性廃棄物)とは何でしょうか?
- A
原子力発電で使い終えた燃料を再処理し、資源として利用できるウランやプルトニウムを取り出す過程で残る廃液をガラス固化したもの(ガラス固化体)のことを指します。
- 「ガラス固化体とは」
- 放射性物質をガラスの緻密な構造に取り込むことにより、地下水に溶け出しにくくする機能を持ちます。
- Q2日本に存在する原子力発電のごみの現状は?
- A
現在原子力発電所などで保管されている約18,000トンの使用済み燃料を今後リサイクルすると、すでにリサイクルされた分も合わせ、ガラス固化体の総数は約25,000本相当となります。NUMOでは40,000本以上のガラス固化体を処分できる施設の建設を計画しています。次の世代に負担を残さないためにも、原子力発電による電気を利用してきた私たちの世代でできるだけ早く処分に道筋をつけなくてはならないと考えています。
- Q3地層処分の方法について教えてください!
- A
ガラス固化体をそのまま処分するのではなく、何重ものバリア(人工バリア)を施したうえで、地下300mより深い安定した地層(天然バリア)中に処分します。人工バリアと天然バリアを組み合わせた「多重バリアシステム」により、長期にわたり放射性廃棄物を私たちの生活環境から隔離すると同時に、放射性物質の動きを抑え閉じ込めることが出来ます。
- Q4地層処分は本当に安全? 他の処分方法はないのでしょうか。
- A
高レベル放射性廃棄物は、高い放射能レベルにあるため、数万年以上にわたり人間から隔離する必要があります。その長い期間、人間の管理に委ねることはリスクも負担も大きいため、人間の生活環境から隔離するための様々な処分方法が国際的に検討されました。そのなかで技術面や取り決められた多くの条約などを考慮すると、深い地層の物質を閉じ込める性質を利用した地層処分が最も適していると考えられています。
- Q5処分地はどのように決まるのですか?
- A
文献による調査や、直径10cm程度の孔を掘って地下を調べるボーリング調査などを行う概要調査、地表と地下深くに施設を建設して地下環境を調べる精密調査の3段階の調査を約20年かけて行い、処分地を決定します。この3段階の調査は、地域の皆さまの声を聴きながら進めていきます。
- Q6NUMOの対話活動はどのようなことをしているのですか?
- A
多くの人々にこの問題を知って欲しいという思いのもと、対話・理解活動を行っています。200~300名を対象とした全国シンポジウムや意見交換会、地層処分模型展示車「ジオ・ミライ号」による巡回説明、複数のメディアと連携した広報活動も盛んに実施しています。

- ■参加学生
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- 伊藤 詩英里さん東京女子大3年
- 小出 果菜子さん東京女子大3年
- 西郡 健太さん東洋大2年
- 藤原 拓郎さん青山学院大3年
- 青山学院大3年 藤原 拓郎さん
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私はNUMOが取り組んでいることや、原子力発電で使い終えた燃料の行き先について無知でした。しかし今回の取材を通して、高レベル放射性廃棄物は日本に大量に存在しており、これを処分することはもはや避けられない問題であると考えるようになりました。
NUMOがこの問題を解決するために地層処分に取り組んでいることを知りました。NUMOの加来さんから地層処分の安全性について熱心な説明を受けましたが、全国的には高レベル放射性廃棄物の処分問題に対する認識はあまり進んでいません。そのためにも私達大学生が地層処分の知識を得て、様々な情報発信をしていくことがこれから重要になっていくのではと思いました。
- 東洋大2年 西郡 健太さん
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原子力発電、放射線…。以前の私はこれらのワードを聞くと無意識のうちに「恐い」、「危険」といったネガティブなイメージを自分の中に植え付け、敬遠していました。確かに6年前の東日本大震災での被害状況を目にすると、危険というイメージが最初に飛び込んでくるかもしれません。
そんな中、NUMOは原子力発電に伴って出る高レベル放射性廃棄物を、いかに安全かつ的確に処分するかに取り組んでいることを知り、自分はただの食わず嫌いであったということを強く感じました。
放射性廃棄物の一連の処分は約100年に及ぶため、私たち若者世代がこの問題を知っていくことの重要性を認識するのと同時に、私自身も地層処分について学ぶことができた今回の取材は、これらの問題を考えていく良いきっかけになりました。