2018事業年度 事業報告書を公表しました

 

2018事業年度 事業報告書の公表に伴い、理事長のあいさつを掲載

 私どもは本日、2018事業年度 事業報告書を公表しました。この機会にみなさまに一言ごあいさつ申し上げます。

 

 

 私どもは、現在、高レベル放射性廃棄物の地層処分の実施に向けて、この取組みの重要性と安全確保の考え方・その実施場所(サイト)の選定を地域のみなさまの同意を得ながら進めることを国民のみなさまに説明する多様な対話活動及び、この処分を実施するのに必要な技術を開発・整備する技術開発活動に取り組んでいます。

 このうち、対話活動に関しては、昨年5月から8月及び10月から本年2月にかけて全国の県庁所在地及び科学的特性マップにおける「グリーン沿岸部」地域にある中小都市を中心に計54都市において、「対話型全国説明会」(以下、「説明会」という。)を開催してまいりました。

 この説明会の開催にあたっては、一昨年の「科学的特性マップに関する意見交換会」の参加者募集における不適切な事案を発生させたことを反省して定めた「対話活動改革アクションプラン」に基づき、参加者と国及び私どもが少人数でテーブルを囲み、対話型で意見交換を行う方式を採用し、テーマの選定から議論の展開に至るまで参加者の立場に立った運営を行うことを心がけました。その際には、会合の公正性を確保するために定めた運営ルールを遵守しました。

 対話できた方の数は限られましたが、開催にあたっては開催地に関係の深い自治体と報道機関を訪問して開催趣旨をお伝えし、会合の告知をお願いしましたところ、開催の事前事後に報道いただいたケースが少なからずあり、こうした取組みが行われていることについてはより多くの方にご認識いただけたのではないかと思っています。

 対話活動のもう一つの柱は、私どもの事業に関して認識を深めたいとする全国各地の市民サークルや団体を対象とした学習支援事業です。これについては、みなさまのニーズに即した学習支援ができるよう支援メニューを拡充するとともに、支援させていただいた団体同士の交流会を国と共催するなど、諸団体による学習活動の一層の広がりと充実等を支援することにも努めてまいりました。

 

 一方、技術開発に関しては、地層処分技術の信頼性及び経済性並びに効率性の一層の向上を図るために必要な今後の各種技術開発活動及び人材育成等の取組みを取りまとめた「中期技術開発計画(2018年度~2022年度)」に基づき、地質環境特性の調査・評価、人工バリアの設計・施工技術等の工学的対策、事業期間中の安全確保、閉鎖後の長期安全性評価等に関する各種技術開発を計画的に進め、その成果の公表を積極的に行い、関係学会等の専門家との情報交流に努めました。

 また、長期の事業展開を見据えてNUMOの技術的信頼性の向上を目指すべく、これまでの技術開発の成果を踏まえて「包括的技術報告書」を取り纏めることにこの数年来取り組んでまいりましたが、これを11月に公表しました。「同報告書」は、これまでに蓄積されてきた科学的知見や技術を統合して実施主体としてどのようにサイトの地質環境の調査を進め、それを踏まえて閉鎖後の長期に亘る安全を確保できる処分場を設計・建設し、安全に操業を行って閉鎖していくか、その内容とその結果の妥当性を包括的に説明するものです。報告書の内容については日本原子力学会にレビューをお願いするとともに、その成果を広く社会に発信して積極的にコミュニケーションを図るため、機構ホームページに特設サイトを設けて公開しました。

 

 これらの取組みは、国民のみなさまから電気料金を通じていただいた資金を用いるものですから、公正かつ効果的かつ効率的に実施せねばなりません。そこで、組織運営にあたっては、一昨年の説明会参加者募集において不適切な事案を発生させたことを踏まえ、二度と同じ過ちを繰り返さないとの決意のもと、リスクマネジメントの強化と業務委託の厳選及び委託先や再委託先の管理など再発防止策の徹底を図ったほか、内部監査の実施、規程・マニュアルの整備等、様々な施策を通じて、ガバナンスの更なる強化に努めました。また、内外の関係機関との共同作業や情報交換も充実して実施し、経験・知見の蓄積にも努めました。

 

 私どもは、これらの成果の上に、今年度も引き続き、「地域社会と共生する安全な放射性廃棄物の処分を実現する」という使命の達成に向けてこれらの取組みを一層強化・加速させてまいります。国民のみなさまには、本報告書をご一読いただき、私どもの事業に対するご理解・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

2019年7月5日 

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