ごあいさつ

理事長

私どもは本日、2015(平成27)事業年度 事業報告書を公表しました。この機会に一言ごあいさつ申し上げます。

国は昨年5月に最終処分法に基づく基本方針を改定しました。そこで、国とNUMOは、同年5月下旬から6月末にかけて、及び10月に全国各地で、この基本方針の改定内容および地層処分の意義と安全性を国民のみなさまにお伝えするシンポジウムを共催しました。

一連のシンポジウムでNUMOは会場のみなさまに、地層処分の実施主体として人々から信頼される組織であるべく努力していることをご説明した後、地層処分の安全確保の方針及び事業推進の考え方、並びに、地層処分施設の立地地域において遠隔操作技術を駆使する先端技術企業として地域と共生していくこと、さらに、関心を持った方々が事業に関する理解を深めるために行う施設見学等を含む学習活動を支援することをお伝えしました。一方、国民から見て顔の見える存在であるべきとして、ウェブサイトを充実し、メルマガを親しみやすいものにすることや、ジオミライ号の全国各地への派遣活動を強化し、さらに、社会の様々な人々と対話する機会や各地において関心を有するみなさまが組織的に行う学習活動を支援する取り組みを強化してまいりました。

年末に行われた最終処分関係閣僚会議では、国民の間に地層処分について徐々に理解が広がりつつある一方で、様々な懸念や不安の声もあること、また、科学的有望地の検討については、地球科学を中心とした安全性に関する要件の検討には一定の進捗があったことが報告されました。同会議ではこれを踏まえて、今後は第一に、関係行政機関との緊密な連携の下、この取組の重要性に関する国民の理解の醸成、地域対応の充実、科学的有望地の検討の3つの取り組みを積極的に進めていくこと、第二に、原子力委員会に体制を整えていただいた上で、これらの進捗について評価していただくこと、第三に、これらの取り組みを通じて、科学的有望地を提示することは地層処分の実現に至る長い道のりの最初の一歩であると国民や地域に冷静に受け止められる環境を整えた上で、平成28年(2016年)中に提示することを目指すことが了承されました。

私どもNUMOはこのことを受けて、「放射性廃棄物の地層処分を実現する」という使命の達成に向け、これらの活動を国、電気事業者と密接に連携して展開することに全力を傾注することを改めて明らかにしました(2015年12月18日プレスリリース)。

そして、国の審議会における科学的有望地の検討が一段落したことを受けて、今年の5月上旬から6月上旬にかけて、昨年同様全国9大都市で、科学的有望地の検討内容および地層処分の意義と安全性について国民のみなさまにお伝えするシンポジウムを国と共催しました。この一連のシンポジウムでNUMOは、科学的有望地の提示後においては全国的な広報活動を継続すると同時に、有望地にある自治体のみなさまに私どもの事業に関心を持っていただけるよう丁寧な対話活動を積み重ね、関心を持っていただいた方々にはその地域社会におけるその意義等を学習する活動を支援することをお伝えしました。また、文献調査を受け入れていただいた場合には、その地の地質環境に関する情報を出来るだけ集めて、適切と思われる地点に地層処分場を立地した場合の予備的安全評価を実施し、安全な地層処分場を設置できる可能性を明らかにする一方、そこに地層処分施設を建設し、操業する場合の自然環境や経済社会に与える影響の調査をその地に詳しい自治体のみなさまからご意見をいただきつつ実施し、その地において事業を行うことになった場合に、地域社会と持続する共生関係を構築するためのあり方について協議し、合意していきますとお伝えすることが重要と考えていることもお伝えしました。

また、各国のこの問題に対する取り組みについて、正確な情報を国民のみなさまと共有することが大切と考え、各国の当事者から国民のみなさまに状況を直接ご説明いただくべく、昨年来、アメリカ、カナダ、フランス、スウェーデンの取り組みに関する講演会を開催してきました。今週にはスイスの実施主体の責任者をお招きしてセミナーを開催します。

ところで、日本の国土に地層処分場を立地することは技術的にも社会的にも未知未踏の取り組みです。私どもが我が国においてこの取り組みを進めるためには、これに必要な知識や技術を習得・整備して国民のみなさまに信頼できる専門家として認められ、これを立地するにあたって立地地域社会に生じる様々な利害関係を共同して解決し、その地域の持続的発展に貢献する、共生するに値する組織と見なされなければなりません。そこで、従来から事業を進めるのに必要な技術の開発・整備を国内外の研究開発機関と協働して進めてまいりましたが、これらが過不足なく進められ、それを用いる能力が整備されてきていることを明らかにするため、我が国における代表的な地質環境をいくつかのサイトモデルに集約し、それぞれのモデルサイトに建設する地層処分施設を設計し、その技術的実現性と安全性を科学技術的証拠に基づいて論証する作業を実施し、その結果を体系的に取りまとめる包括的技術報告書の作成作業を2014年から行ってきております。本年に入り、ようやくその草案がまとまり、現在、それに対する内外の専門家のご意見をいただいております。今年中にはこの取りまとめを終えたいと考えています。

6月の評議員会においては、任期満了で退任される専務理事の西塔雅彦氏の後任に中村稔氏を、監事の長谷川直之氏の後任に上野透氏を選任いただくとともに、昨年度の業務実施結果に対するご評価と今後の事業活動に対するご提言を頂戴しました。今後は、この評価と提言を踏まえ、「放射性廃棄物の地層処分を実現する」という使命の達成を目指して、これらの取り組みの原資が電気料金であることを自覚し、常にコスト意識を高く持ち、役職員一同心を一つに業務を推進してまいります。

もとより、福島第一原子力発電所事故がもたらした被害の大変さに対する思いと原子力関係者に対する不信が多くの人々の心に存在する現在、人々にこうした私どもの思いを伝えることは容易ではないと認識しておりますが、私どもは、より良い将来を目指す私どもの取り組みを一人でも多くの方と共同して推進したいと考え、「対話・共考・協働」を積み重ねてまいります。国民のみなさまには私どもの事業の重要性に対するご理解をいただくとともに、この観点から絶えずご叱声を賜りますようお願い申し上げます。

平成28年7月4日

Shunsuke Kondo