ごあいさつ

理事長

私どもは本日、2016(平成28)事業年度 事業報告書を公表しました。この機会にみなさまに一言ごあいさつ申し上げます。

2016年度、私どもNUMOは、政府による「科学的特性マップ」の提示を見据え、地層処分事業に関してみなさまとの「対話」を進めるとともに、「包括的技術報告書」の作成及び安全かつ高い技術水準の事業の実現に必要となる技術開発に取り組みました。

「対話活動」の分野では、国と共同して5月から6月にかけて全国9都市でシンポジウムを開催し、地層処分事業の基本的な考え方とその重要性、処分地決定のためには地質環境の詳細な調査が必要であること、この調査と「科学的特性マップ」を提示することの関係やマップ作成の要件・基準の検討状況等、さらには、この事業を受け入れた地域社会で想定されるメリットやデメリットを説明し、ご意見を伺いました。こうした取り組みの中で、この事業を進めるためには、私どもNUMO職員の人となりを国民のみなさまに理解していただくことが何より大切と考えるに至り、その後、みなさまと車座で膝を突き合わせて、私どもの考えをご説明し、みなさまのお考えを伺う地層処分セミナー・地層処分意見交換会を全国31都市で開催しました。並行して、地層処分模型展示車の巡回、諸団体・地方新聞社等への訪問説明、クロスメディア広報、地域団体等のみなさんによる自主的な学習活動の支援等にも力を注ぎました。

「技術開発」の分野においては、わが国における安全な地層処分を実施するための技術的取り組みの妥当性を明らかにすることを目的とする「包括的技術報告書」の草稿に対して、技術アドバイザリー委員会委員や外部専門家等から改良に向けてのご意見をいただき、その反映に努めました。また、2013年度に策定した5カ年の技術開発計画(中期技術開発計画)に則った処分技術の性能向上やリスク評価能力の向上を目指す取り組みを実施しました。

これらの取り組みは年度当初に定めた事業計画に基づいてPDCAサイクルを回し、絶えず改善を図るようにしました。また昨今、脅威水準が高まっていることに鑑みて情報セキュリティの強化を含むリスク管理活動も的確に推進しました。

長期間にわたる事業においては短期・中期・長期の目標をそれぞれ展望し、その達成に向けた取り組みを効果的かつ効率的に企画・推進することが大切です。そこで、「科学的特性マップ」の提示から文献調査の円滑な実施までを最初の中期事業期間と位置づけ、この期間に達成すべき対話活動、技術開発、組織運営の取り組みに関する目標を「中期事業目標」として定め、今後の事業の企画・推進に生かしていくこととしました。 これらの取り組みについては評議員会に報告し、ご意見を頂戴するとともに、評議員会から過年度の取り組みに対して頂戴した評価・提言とあわせて事業への速やかな反映に努めました。

一方、昨年9月、原子力委員会は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針に基づき、NUMOを含む関係行政機関等の活動状況に係る評価を行いました。その結果、同委員会は「取り組みはおおむね適切に進められており」「個別に改善が必要な事項はあるものの、総じて、明瞭性・透明性・応答性が高い水準で確保されている」と評価するとともに、「今後も国民理解醸成のための活動を継続することが必要」「長期的視点を重視しつつ」「関係行政機関、実施機関等はより連携を密にし、必要な準備を十分に行うことが不可欠である」と指摘しました。

私どもNUMOはこの指摘を2016年度の事業活動へ迅速に反映するとともに、2017(平成29)事業年度 事業計画・予算・資金計画にも反映しました。

国は、本年4月に「地層処分に関する地域の科学的な特性の提示に係る要件・基準の検討結果」を取りまとめ、これに基づき、「科学的特性マップ」の策定作業を進めています。 今後、「科学的特性マップ」が提示されることにより、私どもの事業に対するみなさまの関心が高まると考えています。そこで、私どもは、「技術開発」を通じて安全の確保を確かにする技術の確立を確実に進めつつ、少人数の車座等の「対話活動」を通じて私どもの考えをていねいにお伝えし、それに対するみなさまのご意見を伺い、技術開発を含む事業推進のあり方に反映させていくことを大切にしていきます。このようにして、各地において地域の将来計画の検討にも役立つ文献調査を受け入れていただける方が増えていくよう、努力したいと考えています。

国民のみなさまには、これからも私どもの事業に対して関心を持っていただき、機会あるごとに叱咤激励いただきますよう、お願い申し上げます。

平成29年7月7日

Shunsuke Kondo