ANDRAとの技術協力協定の締結について

平成13年12月18日
原子力発電環境整備機構

 

原子力発電環境整備機構とフランスのアンドラ(ANDRA:Agence Nationale pour la Gestion des Dechets Radioactifs:放射性廃棄物管理公社<参考1参照>)は、高レベル放射性廃棄物処分に関する技術協力協定を下記のとおり締結いたしましたのでお知らせいたします。 


   


1.締結日

平成13年12月18日(火)

 

2.場所

ANDRA本社(フランス)

 

3.締結者

原子力発電環境整備機構 理事長 外門一直
ANDRA 会長 イヴ・ル・バール氏(Yves Le Bars)

 

4.目的

原子力発電環境整備機構とANDRAは、相互の利益、公平性及び互恵主義に基づき、高レベル放射性廃棄物処分に関わる相互に合意する項目に関して協力を行う。

 

5.協定の概要
(1)基本方針
原子力発電環境整備機構及びANDRAは、追跡性・透明性の確保に配慮することを基本方針として、技術協力を進める。

 

(2) 協力の範囲


[1] サイト選定過程の促進に向けてのアプローチ
[2] 地質環境の選定と特性調査に関わる方法論及び手法
[3] 処分場と人工バリアに関する工学技術
[4] 地層処分システムの性能評価に関する方法論と手法
[5] 情報の品質管理と品質保証
[6] パブリックアクセプタンスと信頼性の形成

 

(3)協力の形態

情報交換、施設訪問、共同研究、人事交流等

 
6.その他
外門理事長はANDRA訪問に先立ち、平成13年12月17日フランスパリで開催された放射性物質環境安全処分国際協会の会議(エドラム:EDRAM、参考2参照)に参加した。
同会議では、外門理事長から当機構に関わる最近の事業活動について概要を説明した。

 
以 上

 
(参考1) ANDRAの概要(2001年12月現在)
1. 設立1979年

 
2. 役割
ANDRA(Agence Nationale pour la Gestion des Dechets Radioactifs:放射性廃棄物管理公社)は1979年にCEA(フランス原子力庁)内に設置され、1991年の放射性廃棄物法に基づき、産業性お よび商業性を備えた公的性格の機関としてCEA内から独立した。 ANDRAはフランスにおける放射性廃棄物処分の実施主体として低中レベルの放射性廃棄物処分場を操業するとともに、高レベル放射性廃棄物処分に関する深 地層処分研究開発の中心的機関として、地下研究施設における研究開発等を実施している。

 

3. 従業員数
約350名(2001年4月現在)

 

4. 所在地
Parc de la Croix Blanche 1/7, rue Jean Monnet 92298 Chatenay-Malabry Cedex, France
(パルク ドゥ ラ クロア ブランシュ 1/7, リュ ジャン モネ 92298 シャトネー-マラブリーセデックス, フランス)

 

5. 高レベル廃棄物処分プログラムの現状
フランスでは、使用済燃料の再処理に伴って発生する高レベル放射性廃液をガラス固化し、このガラス固化体を深い地層中に処分することについての研究開発が進められている。
また、これとは別に、長寿命核種の分離・変換および長期地上貯蔵という2つのオプションも並行して調査・研究が進められており、2006年までにこれらを総括評価した報告書がフランス国会に提出されることになっている。

 

6. 地下研究施設
ANDRAは、フランス政府の指示に従い、1994年から1997年にかけて4つの県において、地下の地層が地下研究所の建設に適しているかどうかの地質調査を実施し、3つの候補地(ムーズ県ビュール、ガール県シュクラン、ヴィエンヌ県ラ・シャペル・バトン)を提案した。
その後、地下研究所についての公開審理が開始され、フランス政府は1998年12月の閣議で、粘土質岩のムーズ県ビュールに地下研究所を建設することを決 定した。 その後、1999年8月には「ムーズ県ビュールへの地下研究所の建設・操業許可に関する政令」が発給され、2001年にはANDRAによってビュール地下 研究所の建設が開始されている。
現在、立坑の掘削作業中であり、2005年末までに地下研究所での試験が終了し、報告書がまとめられる予定である。

 

7. 処分費用
高レベル放射性廃棄物の地層処分に係わる費用については、廃棄物発生者から徴収すべき料金等を含めてまだ決定されていない。

 

8. フランスの原子力事情
フランスには、24ヵ所の原子力発電所があり、現在運転中の原子炉は55基(加圧水型原子炉(PWR)54基、高速増殖炉(FBR)1基)、建設中が加圧 水型原子炉(PWR)4基、閉鎖が11基(加圧水型原子炉(PWR)1基、ガス冷却炉(GCR)8基、重水減速ガス冷却炉(HWGCR)1基、高速増殖炉 (FBR)1基)である。
フランスにおける原子力発電は、設備容量は6,168万kWで、全発電容量の約60%であり、発電電力量は約3,880億kWhで総発電電力量の約76%となっている。(1998年)

  

(参考2)エドラムの概要(2001年12月現在) 

1. 会議名

放射性物質環境安全処分国際協会(エドラム、EDRAM:The International Association for Environmentally Safe Disposal of Radioactive Materials)

 

2. 設立
エドラムは、諸外国の地層処分の実施主体のトップが一堂に会する会議であり、スイス市民法(Swiss Civil Law)の第60条(Code Art. 60)に従い、非営利組織として1999年に設立された。

 

3. 目的
[1] 実施主体間で戦略的問題を話し合うフォーラムの開催
[2] 廃棄物管理問題とそれに適用される国際的原則についての理解の推進
[3] 共同研究及び開発活動(特に地下研究施設における)の奨励、促進
[4] 国際機関(OECD、IAEA、EU等)への対応
[5] 技術的な問題及び管理問題についての協議
[6] 専門家グループ会合、ワークショップ、技術視察、スタッフの交流等の実施

 

4. 会議
会議は、最低年間1回開催。今回の会議では、各国の処分事業の現状についての報告が行われる。

 

5. 参加機関
フランス放射性廃棄物管理機関(ANDRA、フランス)
連邦放射線防護庁(BfS、ドイツ)
ドイツ廃棄物処分施設・運転会社(DBE、ドイツ)
放射性廃棄物管理公社(ENRESA、スペイン)
放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA、スイス)
原子力産業放射性廃棄物管理会社(NIREX、英国)
米国エネルギー省放射性廃棄物管理局(OCRWM、米国)
ベルギー原子燃料廃棄物管理機関(ONDRAF /NIRAS、ベルギー)
オンタリオ電力(OPG、カナダ)
ポシバ社(POSIVA、フィンランド)
スウェーデン原子燃料廃棄物管理会社(SKB、スウェーデン)
原子力発電環境整備機構(NUMO、日本)

以 上