地下300mの世界 地下300mの世界

日本で一番深い地下鉄の駅は地下42.3m。
地下構造物はほとんどが地下数十m程度です。
普段の生活では足を踏み入れることのない
「地下300m」には、
どんな世界が広がっているのでしょうか。

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数々の小説や映画に取り上げられ、
人々の好奇心を掻き立ててきた地下世界。
地表から数十kmの深さまで続く
「地殻」と呼ばれるところでは、
岩石と地下水で満たされ、地上の世界とは
隔絶された静謐な世界が広がっています。

ここには、太古の動植物が
化石として閉じ込められていたり、
水ですらも数万年以上地上に出ることなく、
地層に閉じ込められ続けているものがあります。
こうした水や海水は
「化石水」「化石海水」と呼ばれています。

地下に眠る、数万年前の水?

降り注いだ雨水は地中に浸み込みます。
地表近くの砂層では隙間が多く水が流れやすいため、1年間に10mほど流れます。

地下深部の岩盤は緻密で水が流れにくく水は1年間に数ミリ程度しか流れません。
そのため、地下300mの世界には数万年以上前の雨水や海水が「化石水」「化石海水」として保存されているのです。

地下深部では、
物質の変化が起こりにくい

ー スコットランドで発見された約2000年前の鉄釘 ー

地上付近では酸素を含んでいた水も、地中に浸み込んで深いところへ移動するにつれて、微生物の活動や岩石との化学反応などで酸素が消費され、地下深部ではほとんど酸素を含まなくなります。

スコットランドでは、約2000年前にローマ軍によって埋められた数万本以上の鉄釘が出土しました。表面にあった釘は錆びていたものの、内部の釘はほとんど錆びておらず、そのまま使用できる状態でした。

地下300mの場合、1000年間での鉄の腐食量は大きく見積もっても3cm程度と考えられています。

地下深部には
“物を閉じ込める性質”
がある

  • 地下水の流れが遅く、物の動きが非常に遅い
  • 酸素が少ないためほとんど化学反応せず、物が変化しにくい

地下深部の
“物を閉じ込める性質”
活用した「地層処分」

今、日本を含む世界の国々で、地下深部の環境がもつ“物を閉じ込める性質”を活用した「地層処分」というプロジェクトの実現に向けた取組みが進められています。

「地層処分」とは、原子力発電に伴い発生した高レベル放射性廃棄物を地下深くの安定した岩盤に埋設する処分方法です。

原子力発電で使い終えた燃料(使用済燃料)の中には、まだ使える燃料がたくさん残っているので、日本ではこれをリサイクルして再び燃料として利用することにしています。このリサイクルする過程で残る廃棄物を「高レベル放射性廃棄物」といいます。

高レベル放射性廃棄物は強い放射線を発しています。
放射能レベルは時間の経過とともに減りますが、原子力発電の燃料の元となったウラン鉱石と同じレベルにまで減少するには数万年以上かかります。

とはいえ、そのような長期間、人間の生活環境に影響がないように地上で高レベル放射性廃棄物を管理し続けるのは非常に困難です。
そこで考え出されたのが、地表から300m以上深い安定した岩盤に高レベル放射性廃棄物を隔離し閉じ込める「地層処分」です。

地層処分の方法

高レベル放射性廃棄物をそのまま岩盤に埋めることはありません。

高レベル放射性廃棄物をガラスと融かしあわせてガラス固化体とし、厚さ約20cmの金属製容器に封入したうえで、地下水との接触を遮る厚さ約70cmの粘土で覆い、岩盤に埋設します。

将来に
先送りしないために

日本にある高レベル放射性廃棄物は、既にある使用済燃料をリサイクルすることによって発生するものを含めると、ガラス固化体で約26,000本分になります。
しかしこれを地層処分する場所は、まだ決まっていません。
廃棄物を発生させた現世代として負担を将来世代に先送りにしないよう、みなさんも一緒に考えていきませんか。