7月17日付 北海道新聞電子版『寿都の磯谷溶岩は第四紀火山 活動中心特定の論文公表 核ごみ処分場不適地の評価確定』(8時3分配信)に関する報道について
2025年7月17日
7月17日付 北海道新聞電子版『寿都の磯谷溶岩は第四紀火山 活動中心特定の論文公表 核ごみ処分場不適地の評価確定』
(8時3分配信)に関する報道について
※12時54分に記事のタイトルが『寿都の磯谷溶岩は第四紀火山 活動中心特定の論文公表 NUMO「文献調査結果に影響せず」』に変更
本日(7月17日)付の北海道新聞電子版において『寿都町にある火山噴出物「磯谷溶岩」の活動中心が南部山頂付近にあるとする論文が17日、日本地質学会の電子学術誌「地質学雑誌」で公表された。これまで公表された他の論文で活動年代などが特定されており、磯谷溶岩は周囲15キロが最終処分場不適地となる第四紀火山に該当する評価が確定した。』旨が報道されています。
7/17に、地質学雑誌第131巻第1号に掲載された「西南北海道, 当丸山溶岩と磯谷溶岩のK-Ar年代と岩石記載:寿都町と神恵内村周辺における第四紀火山の認定について」と題する報告(以下、「報告」という)では、磯谷溶岩の「年代」の根拠である、[1]年代測定結果は第四紀(現在から約258万年前)より古い時代も含む約330万年前から210万年前に活動したものであることを示しており、[2]近隣の岩石との化学組成の比較・分析については、引き続き科学的な調査・検討が必要としています。
また、「活動中心」については、磯谷溶岩南部の火砕丘周辺との推定に留まるのみならず、主張の前提である「磯谷溶岩が近隣の火山(ニセコ・雷電火山群)とは異なる」ことの根拠の1つである近隣の岩石との化学組成の比較・分析については、引き続き科学的な調査・検討が必要としています。
しかし、当該記事は、こうした点に言及することなく、磯谷溶岩の「年代」や「活動中心」が確定した事実であるかのように報道しており、当機構としては、誤解を与える内容であると考えています。
当機構として、「報告」の内容を確認の上、以下の見解を公表しています。
「西南北海道,当丸山溶岩と磯谷溶岩のK-Ar年代と岩石記載:寿都町と神恵内村周辺における第四紀火山の認定について」と題する報告について
<「報告」に対する機構の見解(要旨)>
○地質学雑誌電子版投稿編集出版規則に示された論文の種類のうち、報告は「卒論・修論等に掲載されたオリジナルデータあるいは業務などの中で得られたデータの報告.」であり、「議論は含まない.」とされています。
○寿都町の文献調査報告書では、磯谷溶岩が、「文献調査段階の評価の考え方」の火山活動に関する「避けるべき基準」に示された
(ア)マグマの貫入等による人工バリアの破壊が生ずるような第四紀(現在から約258万年前まで)における火山活動に係る火道、岩脈、カルデラ等の履歴
(イ)第四紀に活動した火山の活動中心
に該当するかどうかについて、十分な文献が無く評価できなかったため、概要調査で特に確認する事項としています。基準に照らした評価を行うためには、年代、活動中心かどうか(マグマが下から貫入しているかどうか(岩脈、火道、火口など)及び磯谷溶岩がニセコ・雷電火山群に由来するかどうか)について、確認する必要があります。
○「報告」では、磯谷溶岩について、年代に関する情報はあったものの、火道、火口などの明確な情報は確認できませんでした。また、磯谷溶岩がニセコ・雷電火山群に由来するかどうかを評価し得る情報は確認できませんでした。
○具体的には、「年代」について、K-Ar年代測定の結果は、誤差を考慮すると、330万年前~210万年前であるとされており、第四紀(第四紀=約258万年前から現在まで)である可能性があるものの測定誤差が大きく、また近隣の岩石との化学組成の比較・分析については、データの一部に焦点を当てた評価を行っているため、これらについては、概要調査に進んだ場合、さらなる調査・検討を行う必要があると考えています。
○「活動中心」について、NUMOは「マグマが下から貫入しているかどうか」及び「磯谷溶岩がニセコ・雷電火山群に由来するかどうか」を確認する必要があると考えています。しかし、マグマが下から来ている証左である火道、火口などの存在を明確に示す情報は確認できず、また「報告」の「磯谷溶岩とニセコ・雷電火山群が異なる火山活動である」との主張は、近隣の岩石との化学組成の比較・分析について、データの一部に焦点を当てた評価を行っているなど、十分な根拠が説明されていないので、これらについては、概要調査に進んだ場合、さらなる調査・検討を行う必要があると考えています。
○このように、「避けるべき基準」に該当するかどうかについて、引き続き評価できないことから、概要調査地区の候補は変わらず、文献調査結果には影響しないものと考えています。
○概要調査に進ませていただいた場合、さらなる調査・検討を行いたいと考えています。
以上
お問い合わせ先
原子力発電環境整備機構(NUMO)
広報部 報道グループ
TEL:03-6371-4002(報道グループ直通)