用語集

あ行

オーバーパック

ガラス固化体を封入する容器。ガラス固化体に地下水が接触することを防止し、地圧などの外力からガラス固化体を保護する。人工バリアの構成要素の一つ

か行

海上音波探査(かいじょうおんぱたんさ)

海の中で人工的に音を発振させ、地層境界で反射・屈折する音波を用いて、海底下の地質構造を調査する物理探査手法

概要調査地区(がいようちょうさちく)

ボーリング調査、地表踏査、物理探査等の地表からの調査(概要調査)を実施する地区。応募区域及びその周辺地域について、当機構が文献その他の資料に基づき選定する地区をいう

核分裂生成物(かくぶんれつせいせいぶつ)

ウランなどの核分裂によって生じる放射性物質(核分裂片)、またはそのような核分裂片からさらに放射性崩壊によって生じる放射性物質。質量数が90と130前後の放射性物質が多く、代表的なものにセシウム‐137、ストロンチウム‐90などがある

火成活動(かせいかつどう)

地下深部でできたマグマが地殻に貫入したり、地表に噴出する、あるいはマグマにより地下水、岩盤等にさまざまな物理化学的な影響を生じさせる現象等をいう

活褶曲(かつしゅうきょく)

層状の地層に水平方向の圧力が作用すること等により、波状に変形したものを褶曲という。現在あるいは最近まで活動し、将来も活動する可能性のあるものを活褶曲という

活断層(かつだんそう)

過去数十万年前以降くり返し活動したことのある断層で、将来も活動する可能性のある断層

活撓曲(かつとうきょく)

地層が厚く堆積しているような地域で、深部の基盤が断層運動等により上下に変位することにより、地表付近では断層が生じず、地層が連続したまま屈曲しているものを撓曲という。現在あるいは最近まで活動し、将来も活動する可能性のあるものを活撓曲という

カルデラ

普通の火口より大きく、輪郭が環状またはそれに近い形状の火山の活動に伴う陥没地等をいう

緩衝材(かんしょうざい)

オーバーパックと岩盤の間に充填し、地下水の浸入や放射性物質の移動を抑制するもの。さらに岩盤の変位を物理的に緩衝するクッションの働きや、地下水の水質を化学的に緩衝して変化を抑える働きをもつ。人工バリアの構成要素の一つ。候補材料はベントナイトなどの粘土

ケイ砂(けいさ)

主に石英粒(せきえいりゅう)からなる砂。ベントナイトと混合し、緩衝材や埋め戻し材の材料として使用される

結晶質岩(けっしょうしつがん)

マグマが冷えて固まってできた火成岩(例:花崗岩)および既存の岩石が熱や圧力によって変化してできた変成岩(例:結晶片岩、片麻岩)を指す

高レベル放射性廃棄物(こうれべるほうしゃせいはいきぶつ)

原子力発電所から発生する使用済燃料を再処理することにより有用物質を分離して生じる廃液またはそれを固化したものをいうが、一般には後者の意味でガラス固化体を指して用いられることが多い。本ウェブサイトでは、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律においてガラス固化体を意味する「第一種特定放射性廃棄物」という語のかわりに「高レベル放射性廃棄物」を用いている

さ行

再処理(さいしょり)

原子力発電所から発生する使用済燃料からウランやプルトニウムなどの有用物質を回収するために、使用済燃料を化学的方法により処理することをいう

シーベルト

放射線を受けたときの人体への影響の大きさを表す単位。1ミリシーベルトは、1シーベルトの1000分の1。自然界における放射線による人体への影響は年間約2.4ミリシーベルト(世界平均)。胸のX線集団検診では1回あたり約0.05 ミリシーベルトの放射線を受ける

処分坑道(しょぶんこうどう)

ガラス固化体を埋設するための坑道

処分施設(しょぶんしせつ)

高レベル放射性廃棄物の地層処分を行うために必要な、ガラス固化体の搬送用の設備、埋設用の坑道、人工バリア(ガラス固化体、オーバーパック、緩衝材の総称)を含む一群の施設をいう

処分施設建設地(しょぶんしせつけんせつち)

文献調査、概要調査、精密調査の3段階調査により、地層の物理的および化学的性質が処分施設の設置に適していることが明らかになった精密調査地区内において、処分施設を建設する地点をいう

処分パネル(しょぶんぱねる)

ガラス固化体を埋設する処分坑道群とそれを取り囲む坑道からなる1つの区画をいう

人工バリア(じんこうばりあ)

地層処分において、ガラス固化体中の放射性物質を人間の生活環境から隔離するために設計される障壁をいう。ガラス固化体、オーバーパック(ガラス固化体を封入する容器。ガラス固化体に地下水が接触することを防止し、地圧等の外力からガラス固化体を保護する。)および緩衝材(オーバーパックと岩盤の間に充填し、地下水の浸入や放射性物質の移動を抑制するもの。さらに岩盤の変位を物理的に緩衝するクッションの働きや、地下水の水質を化学的に緩衝して変化を抑える働きをもつ。候補材料はベントナイト等の粘土)の総称

推定活断層(すいていかつだんそう)

「200 万分の1日本列島活断層図」(2002)では、断層活動に伴う変位地形が最近数十万年前以降に形成されたものかどうかの判定が、活断層に比べて難しいものや、変位地形そのものが、他の理由(成因)で形成された可能性があることを示す断層としている

精密調査地区(せいみつちょうさちく)

処分施設建設地の選定に向けて、地下の特性などを調べるために地下に調査施設を建設して調査(精密調査)を行う地区。概要調査地区での概要調査の結果に基づき当機構が選定

正断層、逆断層、横ずれ断層(せいだんそう、ぎゃくだんそう、よこずれだんそう)

断層のずれの向きによって分類したもの。断層面に沿って主として上下方向にずれた断層が縦ずれ断層で、上盤(断層面の上側の地塊)側が相対的に下向きにずれた断層を正断層といい、上向きにずれた断層を逆断層という。横ずれ断層は、断層面に沿って主として水平方向にずれた断層で、断層をはさんで他方を見た場合に、他方が右にずれていれば右横ずれ断層、左にずれていれば左横ずれ断層という

正断層、逆断層、横ずれ断層(せいだんそう、ぎゃくだんそう、よこずれだんそう)

セーフティケース

科学的、技術的、経営管理上の論拠や根拠に基づいて、論を尽くし、処分場が安全であることを説明したもの。
IAEA(2012)では、「セーフティケースは、処分施設の安全を裏付ける科学的、技術的、経営管理上の論拠ならびに証拠を集めたものであり、サイトの適合性ならびに施設の設計、建設および操業、放射線リスクの評価、そして処分施設と関連するあらゆる安全関連作業の適切性と品質の保証を包含するものである」と定義している。また、OECD/NEA(2013)では、「セーフティケースは、処分場が安全であるという主張を定量化し実証するための証拠、分析、論拠を体系的に取りまとめたものである」と定義している。

補足)
セーフティケースという用語は、システムの安全性を説明する概念として、他の産業分野においても用いられている。

参考文献

  • ・IAEA(2012):The Safety Case and Safety Assessment for Radioactive Waste. No. SSG-23.
  • ・OECD/NEA(2013):The Nature and Purpose of the Post-closure Safety Cases for Geological Repositories. NEA/RWM/R(2013)1.

操業(そうぎょう)

ガラス固化体の受け入れに始まり、オーバーパックに封入したガラス固化体や緩衝材の搬送・定置、その後に行う処分坑道の埋め戻し作業までの一連の作業をいう

た行

堆積岩(たいせきがん)

海底や河床などに運ばれた泥や砂などの堆積物や、火山噴出物などが固まってできた岩石(例:砂岩、泥岩)を指す。

第四紀(だいよんき、だいしき)

地質学において約260万年前から現在までの時代をいう

第四紀火山(だいよんきかざん、だいしきかざん)

「日本の第四紀火山カタログ」(1999)では、約200万年前以降に活動したことが認められる火山を第四紀火山とし、日本全国で348の第四紀火山が記載されている(第四紀は、一般に約260万年前以降をいうが、この文献では約200万年前以降に活動したものを第四紀火山としている。)

地温勾配(ちおんこうばい)

地層の温度は、地下の深度が増すにつれて上昇する傾向があり、その度合いを地温勾配という。日本の平均的な地温勾配は、深さ100m 当り約3℃の上昇とされている

地殻(ちかく)

地球の表面にある固体状の部分をいう。厚さは一様でなく、大陸地域で厚く(数十km程度)、海洋地域で薄く(5~10km程度)なっている。地球は、この地殻と中心部の核、その間の地下2900kmまでに存在するマントルから構成されている

地下施設(ちかしせつ)

ガラス固化体を地上から地下に搬送するためのアクセス坑道や連絡坑道、ガラス固化体を埋設するための処分坑道と処分孔等をいう。操業終了後は埋め戻され、閉鎖後は周辺の地層と一体となる

地質環境(ちしつかんきょう)

地層処分の観点からみた地下の環境。岩盤や地下水の性質(地質環境の特性)とそれらの長期にわたる安定性(地質環境の長期安定性)にわけてとらえることができる。地質環境の特性としては、岩盤の力学特性、地下水の地球化学特性、地下水の流動特性等がある。また、地質環境の長期安定性としては、岩盤や地下水の性質に大きな変化を及ぼす可能性のある自然現象(地震、噴火、隆起・侵食)の発生の可能性やそれらによる影響が考えられる

地上施設(ちじょうしせつ)

ガラス固化体の受入・封入・検査施設、緩衝材の製作・検査施設、管理棟等、地下での建設や操業から閉鎖までに必要な地上の施設をいう。地下施設の閉鎖後は撤去される

地表踏査(ちひょうとうさ)

地表面で行う現地調査。地表で確認できる事項、例えば、地層・岩石の分布、地質構造、活断層の分布等を調べる

地層(ちそう)

地層処分において考慮される一定の広がりと深さをもった地層及び岩体。地質学では堆積岩などの成層構造をなした岩体に限定して「地層」と呼ぶが、成因や構成要素を限定しない点で地質学における定義とは異なり、一般の「岩体」を含む意味で用いられる

定置(ていち)

オーバーパックに封入したガラス固化体と緩衝材を処分坑道内の所定の位置に据えること

天然バリア(てんねんばりあ)

放射性物質を閉じ込める機能を期待し、安定で地層処分に好ましい条件を持つ地下深部の岩盤をいう。処分場の構成要素の一つ

特定放射性廃棄物(とくていほうしゃせいはいきぶつ)

「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」では、特定放射性廃棄物を 第一種特定放射性廃棄物と、第二種特定放射性廃棄物に分けている。第一種特定放射性廃棄物は、使用済燃料の再処理に伴い使用済燃料からウラン・プルトニウムを分離した後に残存する物を固型化したものと、海外での再処理に伴い発生したTRU廃棄物(長半減期低発熱放射性廃棄物:地層処分を行う低レベル放射性廃棄物)と一定の基準に基づき交換され、返還される高レベル放射性廃棄物。第二種特定放射性廃棄物は、再処理や分離したウラン・プルトニウムの燃料加工の工程で発生するTRU廃棄物のうち、半減期が長い核種が一定量以上含まれるものなどは、生活環境から長期間にわたり隔離するため、高レベル放射性廃棄物と同様に地層処分するもの

トレンチ調査(とれんちちょうさ)

活断層の既往歴を調査するために、断層線を横切る方向に細長い溝を掘り、断層のずれかたや地層の年代を測定して、断層の動いた年代などを調べる調査

は行

物理探査(ぶつりたんさ)

人工的に発生させた地震波や電磁波等を利用して、空中、地上、水上等から地下の状況を間接的に調査すること。地質構造の状況、鉱床の有無等を調査することができる

ベントナイト

粘土の一種で緩衝材の候補素材の1つ(>緩衝材)

放射能(ほうしゃのう)

物質が放射線を放出する性質をいい、単位時間あたりに放射性崩壊によって壊変する数で表される

ボーリング調査(ぼーりんぐちょうさ)

地下の地質状況等を調べるため、地中に直径数cm ~十数cm程度の円筒状の孔を掘って行う調査。この際に採取した岩石試料、孔を用いた各種の計測等によって、地下の岩石、地下水等 に関するさまざまな情報を取得することができる。高レベル放射性廃棄物の地層処分では、ボーリング調査を行う深さは、数百m~千m 程度となる

ま行

未固結堆積物(みこけつたいせきぶつ)

礫、砂、泥等の堆積物が固結していない状態にあるものをいう

モニタリング

周辺環境や、施設からの排気や排水中の放射能のレベルなどを測定すること。たとえば、地下水位の測定、排気筒から放出される放射性物質濃度の測定などがある