「原子力と最終処分に関する日本・フィンランド共同セミナー」を開催しました

「原子力と最終処分に関する日本・フィンランド共同セミナー」

開催概要
開催日:2018年4月12日(木)
場 所:建築会館ホール

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開会挨拶 ヤリ・グスタフソン事務次官
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パネルディスカッション

 

原子力発電に伴い発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分は、原子力を利用する全ての国に共通の課題です。地層処分は高レベル放射性廃棄物を処分する最も実現性の高い方法であると国際的に認知されています。

フィンランドにおいては、エウラヨキ自治体のオルキルオトが最終処分地として2001年に国会で承認され、世界で最初に高レベル放射性廃棄物の処分地が決定し、2016年に処分施設の建設が開始されるまでに至っています。

今回、日本の経済産業省資源エネルギー庁、原子力発電環境整備機構(NUMO)、フィンランドの雇用経済産業省、Posiva社(フィンランドの地層処分の実施主体)、Fortum社(フィンランドの電力会社)が主催し、「原子力と最終処分に関する日本・フィンランド共同セミナー」を開催しました。

セミナーでは、フィンランドにおいて先行する放射性廃棄物の処分を中心に、日本、フィンランド両国の原子力分野における取り組みから得られた経験と教訓を共有し、パネルディスカッションによる意見交換が行われました。当日は、約130名の方々が聴講され、会場からの質疑応答も行いました。

 

はじめに、日本から大串 正樹 経済産業大臣政務官(代読:竹谷 厚 資源エネルギー庁国際資源エネルギー戦略統括調整官)およびフィンランドのヤリ・グスタフソン雇用経済産業省事務次官より開会挨拶がありました。

 

第一部「両国での経験の共有」では、まず"気候変動とエネルギー政策の概要"と題し、日本からは中西 友昭 資源エネルギー庁需給政策室長、フィンランドからはテッポ・トゥルッキ フィンランド大使館参事官より、それぞれの国のエネルギー政策の状況と今後の計画の紹介がありました。

次に"原子力政策と国民理解"をテーマに、若月 一泰 資源エネルギー庁原子力立地政策室長より、現状の日本における原子力発電所の再稼動の状況や最近の対話活動などが紹介されました。

パネルディスカッションでは、日本とフィンランドより計7名のパネリストが参加し、放射性廃棄物問題に取り組むうえでの基本的な姿勢や、国民理解・地域共生などについて意見交換が行われました。国民や地域の信頼醸成には、透明性のある情報発信や対話活動が重要であり、事実を正確に伝えて地域の方々に考えていただくことの重要性が示されました。

 

第二部「原子力の責任の構築(フィンランドの事例)」では、最初に雇用経済産業省エネルギー課副課長のリーサ・ヘイキンヘイモ氏より、フィンランドの原子力事業の概要が説明され、次にFortum社より主に低中レベル放射性廃棄物管理の状況などについて、Posiva 社の関連会社であるPosiva Solutions社からは最終処分場の建設状況などの紹介がありました。また原子力規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)からは、規制当局によるステークホルダーへの積極的な対話活動の重要性などの紹介が行われ、フィンランド技術研究センター(VTT)や、フィンランド原子力産業協会(FinNuclear Association)からも事業の紹介がありました。

 

最後に、ユッカ・シウコサーリ駐日フィンランド大使より、今後も両国における放射性廃棄物処分に関する継続的な協力関係についての期待が話され、NUMOの近藤駿介理事長より、先行するフィンランド等の知見を参考にしながら、丁寧な対話により信頼を築き、着実に地層処分事業を進めていくことを話し、共同セミナーを締めくくりました。

 

詳細はこちら(8月28日更新)

 

 当日のプログラムとスライド資料

 

開会挨拶

13:00~13:10

 日本:大串 正樹 経済産業大臣政務官
 (代読:竹谷 厚 資源エネルギー庁国際資源エネルギー戦略統括調整官)

 フィンランド:ヤリ・グスタフソン 雇用経済産業省事務次官

 

第一部 両国での経験の共有

13:10~13:40 気候変動とエネルギー政策の概要

 日本:中西 友昭 資源エネルギー庁需給政策室長  資料PDF(1.3MB)PDF

 フィンランド:テッポ・トゥルッキ フィンランド大使館参事官  資料PDF(3.9MB)PDF

13:40~13:55 原子力政策と国民理解

 日本:若月 一泰 資源エネルギー庁原子力立地政策室長  資料PDF(0.9MB)PDF

13:55~15:30 最終処分政策の推進(パネルディスカッション)

(モデレータ)竹内 純子 国際環境経済研究所理事

(パネリスト)

 日本:

  辰巳 菊子(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会常任顧問

  伴 英幸  NPO法人 原子力資料情報室共同代表

  那須 良  資源エネルギー庁放射性廃棄物対策課長

  近藤 駿介  原子力発電環境整備機構(NUMO)理事長  資料PDF(1.2MB)PDF

 フィンランド:

  ミカ・ポホヨネン Posiva Solutions代表取締役社長  資料PDF(5.9MB)PDF

  ユッシ・ヘイノネン STUK放射性廃棄物・保障措置規制担当課長

  リーサ・ヘイキンヘイモ 雇用経済産業省エネルギー課副課長

 

第二部 原子力の責任の構築(フィンランドの事例)

15:40~16:00 フィンランドの原子力発電 稼動、プロジェクト、許可申請

 リーサ・ヘイキンヘイモ 雇用経済産業省エネルギー課副課長  資料PDF(1.9MB)PDF

16:00~17:15 個別事例について

・Fortum(電力会社)

 サミ・ハウタカンガス 原子力サービス 使用済核燃料・廃棄処理サービス部門長  資料PDF(2.0MB)PDF

・Posiva(地層処分の実施主体)
 ミカ・ポホヨネン Posiva Solutions代表取締役社長  資料PDF(9.8MB)PDF

・STUK(原子力規制機関)
 ユッシ・ヘイノネン 放射性廃棄物・保障措置規制担当課長  資料PDF(1.0MB)PDF

・VTT(技術研究センター)
 マッティ・パルヤッカ エネルギー部門顧客担当マネージャー  資料PDF(1.4MB)PDF

・FinNuclear Association(フィンランド原子力産業協会)
 ラウリ・ムラネン 会長  資料PDF(0.5MB)PDF

17:15-17:30 両国代表者による議論のまとめ

 日本:近藤 駿介 原子力発電環境整備機構(NUMO)理事長

 フィンランド:ユッカ・シウコサーリ 駐日フィンランド大使

17:30 閉会