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日本とヨーロッパの水はなにがちがうの?
~水の性質を調べてみよう~

教えて博士!

実験から、紅茶の色や味が変わった原因は、水の中のカルシウムの量に関係していることがわかったね。
これは、紅茶のうまみ成分である「タンニン」はカルシウムと結びつくと別の物質になり、色が暗くなって苦みが増してしまうことが理由なんだ。紅茶本来の味や香りを楽しむには軟水(なんすい)が向いているんだね!今回は紅茶で実験したけれど、水の成分のちがいは、洋食・和食とそれぞれちがう食文化が発展したことにも関係していたりと奥深いんだ。

ところで最初に、水の硬度は含まれるミネラルの量によって決められると話したね。でもなんでヨーロッパなどでは硬水(こうすい)が多くて、日本では軟水(なんすい)が多いんだろう?それは大地のでき方と地層の特徴(とくちょう)のちがいによるものなんだ。
水の中のミネラルは、雨水や雪どけ水が大地にしみこんで川となり、周りの地層などの成分が少しずつ溶けこんだものだよ。地域ごとに大地をつくっている物質がちがうことや、地形のちがいによって陸地に水がとどまっている時間がちがうことから、地域によって硬度に差が出るんだ。

日本は山と海が近く、傾斜(けいしゃ)が急な地形だよ。そのため川の角度は急で長さが短く、岩石とふれる時間が短いから、ミネラルの少ない軟水(なんすい)になるんだ。 また火山活動によってできた場所が多く、地層はおもにミネラルの量が少ない火成岩(かせいがん)でできていることも理由と考えられているよ。
それに対してヨーロッパなど硬水(こうすい)が多い地域では、山と海が遠く離れていて、水は緩やかな地形をゆっくり移動するよ。岩石とふれる時間が長いからミネラルがとけだしやすく、硬水(こうすい)になるんだ。 また、ヨーロッパの地層には、ミネラルを多く含(ふく)んだ貝がらや魚の骨がはいった石灰岩(せっかいがん)の地層が広がっていることも原因だよ。

※不透水層(ふとうすいそう):水を通しにくい、もしくは通さない層(そう)

※不透水層(ふとうすいそう):水を通しにくい、もしくは通さない層(そう)

でもなぜ日本の山は急な勾配(こうばい)で火成岩(かせいがん)でできているものが多いんだろう?
それは日本列島の成り立ちに関係しているんだ。地球表面は「プレート」とよばれる十数個のかたい板状(いたじょう)の層(そう)でできていて、それらの層(そう)がほとんど変形(へんけい)せずに動いているというのを聞いたことはあるかな?これをプレートテクトニクスというよ。
日本列島は4つのプレートがぶつかり合う世界で最も活動的な場所なんだ。300万年前フィリピン海プレートが太平洋プレートの下に押し込まれて方向を変え、そのままどんどん西に押されて大陸プレートが圧縮されていった。そのとき東日本に出羽山地(でわさんち)や奥羽山脈(おううさんみゃく)、越後山脈(えちごさんみゃく)などができたと考えられているよ。

また、海洋プレートの沈み込みはマグマを発生させ、そこに火山ができたから、日本の山は火成岩(かせいがん)が多いんだ。
https://www.numo.or.jp/pr-info/pr/summer/2021/hints/contents06/

地球のプレート運動が食文化にまで影響しているなんて、なんだか壮大だね!

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