日本国内の多様な地質環境を理解するために
多様な地質環境下での安全な地層処分の実現に向けて
処分場の設計と安全評価の観点から重要なポイントとして、国内における多様な地質環境の類型化があります。そのため、NUMOが公表した包括的技術報告書では、「深成岩類」、「新第三紀堆積岩類」、「先新第三紀堆積岩類」といった3種類の岩種を検討対象として地質環境モデルを構築し、そのモデルに基づいて設計した処分場に対する安全評価を実施しています。しかしながら、先新第三紀堆積岩類については、深地層研究施設がないこともあり、他の岩種に比べて地質環境データに関する既存情報が限られています。
そこで私は、現場担当者として、神流川発電所の地下トンネル内において、先新第三紀堆積岩類を対象としたボーリング調査や地下水の採取・分析、現場の安全管理、各種試験の品質管理に携わりました。
同一の地質環境から一連のデータを取得したことで、地質構造、熱環境、水理場、力学場、化学場が相互に関連付けられた一貫性のあるデータを拡充することができ、地質環境モデルの信頼性を向上させることができました。これにより、包括的技術報告書の信頼性向上にもつながります。
ここで得た知見を、日本原子力学会バックエンド部会が主催する第40回バックエンド夏期セミナーポスターセッションで発表し、2024年度「ポスター賞」を受賞しました。
受賞を励みに今後も安全な地層処分事業の実現に貢献できるように努力していきたいと思っています。

